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選び方と比較

ボイスレコーダーはどれを買うか——「文字起こし」と書いてあっても、自動で文字になるとは限らない

同じ「文字起こし」でも、自動で文字にする機種と、人が書き起こすのを助けるだけの機種があります。公式の記載でそこを分けたうえで、従来型ICレコーダー・AIレコーダー・スマートフォンの3系統を1枚の表で並べました。

「ボイスレコーダー」で探していると、価格も形も似た機種が並びます。ところが仕様表をよく読むと、同じ「文字起こし」という言葉が2つの違う意味で使われています。自動で文字にしてくれる機種と、人が書き起こす作業を助けるだけの機種。ここを取り違えると、買ったあとに手作業が丸ごと残ります。

この記事の内容(22項目)
  1. 「文字起こし」には、2つの意味があります
  2. 3系統を、同じ表で並べる
  3. 従来型ICレコーダー——いま買えるもの
  4. 長く録れる設定にすると、音の上が削られます
  5. 8GBで、何時間録れるか
  6. AIレコーダー——本体を買っても、月額が残る
  7. 固定電話や、通話を録りたい場合
  8. ボイスバランサーとノイズキャンセルは、再生の処理です
  9. スマートフォンで足りる場合
  10. 会議室での置き方で、結果が変わります
  11. 「小型」を選ぶと、何を失うか
  12. 比較表に出てこない5項目
  13. 電池が切れたとき、録音は残るか
  14. 3系統の「1時間あたり」を、そろえて出す
  15. 用途から選ぶ
  16. 「気づかれずに録りたい」で探している方へ
  17. 買ってから気づくところ
  18. 型落ちや中古を買うときに見るところ
  19. Recoryはどこに当たるか
  20. 買う前に確かめる4つ
  21. この記事の更新履歴
  22. この記事から分かれる話

この記事は、公式ページに書いてあることだけで3系統を並べ直したものです。順位は最後に付けますが、その前に系統の違いを見てください。選び方の8割はここで決まります。文字にするだけでなく決定事項と宿題まで作る製品を見たい場合は議事録アプリの比較にまとめました。

録るだけでいい従来型ICレコーダー乾電池で40時間以上文字にしたいAIレコーダー本体+月額まず試したいスマートフォン買わずに済む
ボイスレコーダーは、いま3系統に分かれています。

「文字起こし」には、2つの意味があります

ここが最初の分かれ目です。製品ページに「文字起こし」と書いてあっても、機械が文字にするとは限りません。

OM SYSTEMのVoice-Trek VP-20には「文字おこし」モードがあります。トップページの機能紹介では「議事録作成に役立つ『文字おこし』モード」と書かれていて、これだけ読むと自動で文字になりそうに見えます。ところがこの機能は「充実の再生機能」という見出しの下に置かれています。同じ見出しの中に並んでいるのは、ボイスバランサーとノイズキャンセルです。

詳しい説明を読むと、何をするモードなのかがはっきり書かれています。

再生・停止・巻き戻し・早送りの操作をすることが多い、講義のノートや議事録作りなど、音声を聞きながら文章に書き起こすときに便利な「文字おこし」モードを搭載。「少し戻る」「早く流す」「少し飛ばす」などの操作が十字キーに割り当てられるので、効率的に作業を進められます。

人が書き起こすための操作モードです。十字キーの割り当てを変える機能で、音声が文字になるわけではありません。公式は正直に書いていて、隠してもいません。ただ、機能名だけを見て買うと期待がずれます。

自動で文字にするAIレコーダー・スマートフォン書き起こしを助ける従来型ICレコーダーの再生モード何もしない文字起こしの記載が無い機種
同じ「文字起こし」でも、やってくれることが違う。

比較記事の一覧表で「文字起こし ○」と書かれているとき、どちらの意味かは表からは読めません。確かめ方は単純で、その機能が「録音」の項目にあるか「再生」の項目にあるかを見ることです。再生機能として説明されているなら、文字にするのは人の仕事です。

3系統を、同じ表で並べる

系統ごとに、得意なところと諦めるところがはっきり分かれています。

従来型ICレコーダーAIレコーダースマートフォン
文字起こし付かない(再生補助はある)付く標準機能で付く機種がある
要約・議事録付かない付くアプリによる
連続録音40〜110時間(乾電池)8〜30時間電池と容量しだい
本体価格オープン価格¥13,860〜¥39,800追加の出費なし
月額不要多くは必要プランによる
音声の送信先外に出ないクラウドサービスによる
買い切りできる本体のみ

この表で目を引くのは、いちばん右と左の列です。従来型は音声が一切外に出ません。録音の外部送信が禁止されている職場では、これ以外に選択肢がないことがあります。一方でスマートフォンは、すでに手元にあるので追加の出費がありません。

真ん中のAIレコーダーだけが、本体を買ったうえで月額を払う形になります。その代わり、録音を止めると文字起こしと要約ができています。

従来型ICレコーダー——いま買えるもの

まず状況から書きます。このジャンルは選択肢が減っています。ソニーは2026年7月時点でICレコーダーの出荷を終えつつあり、ソニーストアで購入できるのはICD-UX570Fシリーズだけになりました。ICD-TX660・ICD-PX470F・PCM-A10は製品ページに販売終了と表示されています(詳しくはソニーがICレコーダーをやめる。次に何を使うかにまとめました)。

一方でOM SYSTEMは、2026年1月に新機種を出しています。公式のラインアップに並んでいるのは5機種です。

OM SYSTEM Voice-Trek VP-20

2026年1月30日発売の新しいスティック型です。公式の仕様から数字を並べます。

項目公式の値
内蔵メモリ8GB
記録形式リニアPCM形式/MP3形式
電池単4形乾電池1本、またはニッケル水素充電池1本
電池持続時間リニアPCM 約24時間/MP3 128kbps 約27時間30分/MP3 8kbps mono 約50時間
寸法・質量17×130×17mm・37.5g(電池含む)
価格オープン価格(公式に金額の記載なし)

細長い形なので、胸ポケットに挿しておけます。外部マイク端子があり、別売りの電話録音用マイクを繋げば固定電話の通話も録れると公式に書かれています。「文字おこし」モードは前に書いたとおり再生の補助なので、文字にする作業は残ります。

OM SYSTEM Voice-Trek WS-883 / WS-882

2023年4月発売の据え置き型です。会議室の机に置いて使う形で、電池の持ちがこの系統でいちばん長い部類に入ります。

項目WS-883WS-882
内蔵メモリ8GB4GB
電池持続時間(リニアPCM)約53時間同じ
同(MP3 128kbps)約41時間同じ
同(MP3 8kbps mono)約110時間同じ
寸法・質量111.5×39×18mm・77g(電池2本含む)同じ
価格オープン価格オープン価格

MP3の128kbpsで約41時間というのが実用的な数字です。形式ごとの違いはPCM録音とはに分けて書きました。1日8時間の研修を5日ぶん、充電なしで録れる計算になります。この持続時間に並べる機種は、AIレコーダーにもスマートフォンにもありません。

なお公式は電池持続時間について「当社試験による」という趣旨の注記を付けています。使う条件で変わる値なので、目安として読んでください。

従来型を選ぶ理由が残っている場面

3つあります。音声を外へ出せない職場終日録りっぱなしにする使い方乾電池で動く安心が要る場面です。3つ目は災害時や長時間の現場取材で効きます。充電器を探さなくても、コンビニで単4電池を買えば録音が続きます。

逆に、この3つに当てはまらないなら、従来型を選ぶ理由は薄くなります。文字起こしも要約も付かないので、録ったあとの作業が丸ごと残るからです。1時間の会議を人が書き起こすと、慣れた人でも3〜5時間かかります。

長く録れる設定にすると、音の上が削られます

「乾電池で約110時間」という数字には条件が付いています。MP3の8kbpsモノラルという、いちばん軽い設定にしたときの値です。この設定で何が変わるのかは、仕様表の周波数特性の欄に書いてあります。

Voice-Trek VP-20の公式仕様から、マイクジャック録音時の値を並べます。

録音形式周波数特性電池持続時間(アルカリ乾電池)
リニアPCM 22.05kHz/16bit40Hz〜10kHz約24時間
MP3 128kbps40Hz〜17kHz約27時間30分
MP3 32kbps mono40Hz〜7kHz約40時間
MP3 8kbps mono40Hz〜3kHz約50時間

いちばん下の行を見てください。上が3kHzで切れます。これは固定電話の音質とほぼ同じ帯域で、サ行やハ行の子音が含まれる高い成分がここで落ちます。録れている時間は倍になりますが、聞き返したときの明瞭さは目に見えて落ちます。

会議の記録に使うなら、MP3の128kbpsが妥当な落としどころです。VP-20で約27時間30分、WS-883で約41時間。1日の会議を全部録っても余ります。8kbpsは「とにかく長く回しっぱなしにしたい」という特殊な用途のための設定で、あとで聞き返す前提なら選ばないほうが無難です。

なおリニアPCM形式の上限が10kHzと、MP3の128kbpsより低く見えるのは、この機種のリニアPCMのサンプリング周波数が22.05kHzだからです。形式の名前ではなく、サンプリング周波数と周波数特性の数字を見てください。「リニアPCM=高音質」と機械的に読むと、この機種では逆になります。

内蔵ステレオマイクで録る場合の周波数特性は、公式に「50Hz〜17kHz(但し、周波数特性の上限値は各録音モードによる)」と書かれています。上限は録音モードで変わるという但し書きが付いているので、軽い設定を選んだときは内蔵マイクでも上が落ちると読むのが自然です。

8GBで、何時間録れるか

内蔵メモリの容量は、いまの機種ならほぼ足ります。VP-20もWS-883も8GBです。

MP3の128kbpsで録ると、1時間あたりおよそ56MB。8GBなら140時間前後という計算になります(管理領域に使う分があるので実際は少し減ります。公式も「メモリー容量の一部を管理領域として使用しているため、実際に使用できる容量は少なくなります」と注記しています)。

つまり容量より先に電池が尽きます。128kbpsで約27〜41時間ですから、電池を替えながら使っても、メモリがいっぱいになる前に取り込むことになります。容量の大小を比較の軸にする必要は、実務ではほとんどありません。

比較で効くのはむしろ、取り込みの手間のほうです。VP-20は本体下部にUSB端子があり、ケーブルなしでパソコンに直接挿せると公式に書かれています。同梱のニッケル水素充電池を本体に入れたまま充電することもできます。ケーブルを探す手間がないのは、毎日使うと差が出ます。

AIレコーダー——本体を買っても、月額が残る

録音を止めると文字起こしと要約ができている、という系統です。2026年に入って機種が増えました。

機種本体価格(税込・定価)連続録音無料枠
PLAUD Note¥27,500月300分
PLAUD NotePin¥27,50020時間月300分
Anker Soundcore Work(64GB)¥26,990本体8時間/ケース込32時間月300分
Notta Memo(標準)¥25,50030時間月300分
SwitchBot AIマインドクリップ¥19,98020時間月300分
オートメモ S¥19,800月60分
iFLYTEK P1¥19,800
オートメモ R¥13,860月60分

無料枠が月300分でそろっているのが2026年の特徴です。5時間ぶんなので、週1本の1時間の会議なら無料枠に収まります。それを超えると月額が乗ります。

ここで見落としやすいのが、本体代と月額を足した総額です。月額¥1,500の機種を2年使うと、月額だけで¥36,000。本体より高くなります。機種ごとの詳しい比較と、2年でいくら払うかの計算はAIレコーダーはどれを買うかにまとめました。

固定電話や、通話を録りたい場合

従来型ICレコーダーには、外部マイク端子から通話を録る道が用意されています。VP-20の公式ページには、別売りの電話録音用マイク「テレホンピックアップTP8」をマイク端子に繋ぎ、イヤホンを耳に入れるだけで電話での会話を録れる、と書かれています。用途として「電話での取材や証拠録音に便利です」と明記されています。

この方式は、固定電話でも使えるのが利点です。スマートフォンのアプリでは固定電話に手が出せません。取材や、電話での取引が多い仕事では、ここが決め手になることがあります。

iPhoneの通話を録る場合は、標準の「電話」アプリに通話録音の機能があります。仕様と条件はiPhoneの通話録音にまとめました。サードパーティのアプリで通話を録る話とは別のものなので、そちらと混ぜないでください。

ボイスバランサーとノイズキャンセルは、再生の処理です

従来型ICレコーダーの製品ページには、音を良くする機能がいくつも並んでいます。ここも「文字起こしモード」と同じで、どの段階で効くのかを見る必要があります。

OM SYSTEMのボイスバランサーは、公式の説明ではこうなっています。

小さな音は大きく、大きな音は一定レベル以上にならないよう、自動で音量を調整して再生します。

「再生します」と書かれています。録音されたデータそのものを変えるのではなく、聞くときに調整する機能です。ノイズキャンセル機能も同じ見出しの中にあり、「人の声を抽出してクリアな音で再生できる」と説明されています。しかも「ノイズキャンセル機能を使用すると再生スピードは変更できません」という制約まで書かれています。

再生時の処理だと何が違うのか。録ったファイルをパソコンに移して別のソフトで聞くと、その効果は乗りません。本体で聞き返す前提の機能です。文字起こしサービスにファイルを渡す使い方をするなら、これらの機能は効かないものとして考えてください。

一方、録音の段階で効く機能もあります。VP-20の「ボイスチェイサー」は録音レベルを自動で調整する機能、「擦れ音フィルター」はポケットの中でのこすれ音を抑える機能として、いずれも「高音質録音」の見出しの下に置かれています。項目が分かれているのは、効く段階が違うからです。

スマートフォンで足りる場合

買う前に、これを確かめてください。会議室の机に置いて録る使い方なら、手元のスマートフォンで同じ結果になることが多いです。

iPhoneならボイスメモが最初から入っていて、機種と言語の条件を満たせば文字起こしも出ます。Androidも機種によって標準の録音アプリがあります。端末ごとの場所と、無料でどこまでできるかは録音の仕方にまとめました。

専用機が本当に効くのは、次の2つの場面です。

  • 身につけて録りたい。立ち話、移動中、現場。手が塞がっていてスマートフォンを構えられない
  • 電池と容量を気にしたくない。終日の研修や、複数の会議が連続する日

この2つに当てはまらないなら、まずスマートフォンで1本録ってみるほうが早く判断できます(確かめ方)。

会議室での置き方で、結果が変わります

どの系統を選んでも共通する話です。録音の出来は、機種の差より置き方の差のほうが大きいことがあります。

置き方の基本は3つです。机の中央に置く。端に置くと近い人の声だけが大きくなります。紙やパソコンから離す。書類をめくる音とキーボードの音は、人の声と同じくらいの大きさで入ります。エアコンの吹き出し口とプロジェクターの真下を避ける。空調とファンの音は低い帯域に居座るので、あとから消しにくいものです。

もう1つ、会議室が広い場合は、マイクを1つ増やすより、録る位置を発言者に寄せるほうが効きます。遠くの声を大きくする再生機能はありますが、そもそも届いていない声は増幅できません。外付けマイクを検討する前に、置き場所で解決できないかを試してください(外付けマイクが要るか)。

セルフタイマーが付いている機種なら、会議の前に仕掛けておけます。VP-20は待機時間を3分・5分・10分から選べると公式にあります。録り忘れは、機能で防げる失敗です。

「小型」を選ぶと、何を失うか

「小型ボイスレコーダー」「超小型」で探している方向けに、失うものを先に書きます。3つあります。

1つめ、マイクの間隔。ステレオで録る機種は、2つのマイクの距離で音の広がりを記録します。本体が小さいとこの間隔が詰まるので、どちらから聞こえた声かの情報が弱くなります。会議で誰が話したかを後から聞き分けたい場合、ここは効きます。

2つめ、電池。小さい本体には小さい電池しか入りません。前に挙げた「乾電池で約110時間」は、単4形2本が入る据え置き型だから出る数字です。

3つめ、操作のしやすさ。ボタンが小さくなり、鞄の中で誤操作しやすくなります。逆に、VP-20のようにスライド式の録音スイッチを本体最上部に置いて、見ずに操作できる形にしている機種もあります。

机に置いて使うなら、小型である必要はほとんどありません。小ささが効くのは、身につける場合と、鞄に入れっぱなしにする場合の2つだけです。

比較表に出てこない5項目

各社の仕様表を全部集めても、次の5つはどこにも書かれていません。買ったあとに困るのは、たいていこちらのほうです。

見る項目なぜ効くか
落ちたとき何が残るか電池切れやアプリの終了で、それまでの録音が消える製品がある
議事録の行から音声へ戻れるか文字起こしを疑ったとき、確かめる手段があるかどうか
書き出せる形式MP3やテキストで出せないと、やめるときに持ち出せない
1分あたりの実効単価本体代+月額を、実際に録る分数で割った値
電池の交換内蔵電池が劣化したとき、交換できるか

このうち1つめは、購入前に自分で試せます。従来型ICレコーダーは、録音中に電源が落ちてもそこまでのファイルが残る作りが多い一方、スマートフォンのアプリは実装しだいです。30分録ってアプリを強制終了してみると、その製品がどちらかが分かります。

電池が切れたとき、録音は残るか

これは仕様表に載らないのに、いちばん困る項目です。

従来型ICレコーダーは、電池が減ると録音を止めて、そこまでのファイルを保存する作りが一般的です。電池切れの警告も本体の画面に出ます。ただし「何分前に警告が出るか」「切れた瞬間のファイルがどう扱われるか」を公式ページに明記している機種は、今回見た範囲ではありませんでした。購入後に、自分の機種で一度試しておく項目です。

スマートフォンのアプリは実装しだいで、ここが製品ごとにいちばん分かれます。長い録音を細かく区切って保存する作りなら、落ちても直前までが残ります。1本のファイルとして最後まで保持する作りだと、途中で落ちたときに丸ごと失うことがあります。

確かめ方は単純です。30分ほど録って、アプリを強制終了してみる。それで残っていれば、その製品は落ちても大丈夫だと分かります。返品できる期間のうちにやっておく価値があります。実際に録音が飛んだときの復旧の話は録音が途中で止まるときにまとめました。

3系統の「1時間あたり」を、そろえて出す

金額の比べ方をそろえます。本体代を2年で割り、月額を足して、1か月に録る時間で割った値です。月10時間録る前提で計算します。

本体(2年で割った月額)月額合計1時間あたり
従来型ICレコーダー(仮に¥12,000)¥500¥0¥500¥50
AIレコーダー(本体¥27,500+月額¥1,500)¥1,146¥1,500¥2,646¥265
スマートフォンのアプリ(月¥980)¥0¥980¥980¥98

従来型がいちばん安く見えますが、文字起こしにかかる時間が金額に入っていません。1時間の会議を人が書き起こすと3〜5時間かかります。時給に直すと、その時点で他の系統を追い越します。

逆に、録りっぱなしにして聞き返さない用途——記録として残すだけ、あとで必要になったときだけ聞く——なら、従来型の¥50が正しい単価になります。文字にする必要がないなら、文字起こしの費用は払う理由がありません。

自分がどちらかは、過去3か月に「録った音声を実際に聞き返した回数」で分かります。0回に近いなら、文字起こしは要りません。

用途から選ぶ

条件を明示したうえで、順番を付けます。「会議の記録を残して、あとで読める形にする」という条件での順番です。音楽の録音や語学学習が目的なら、順番は変わります。

1. 会議を録って、文字起こしまで自動で欲しい → AIレコーダー、またはスマートフォン。無料枠が月300分でそろっているので、まず無料枠で試してから機種を決めるのが損をしません

2. 音声を社外に出せない → 従来型ICレコーダー一択です。OM SYSTEMのWS-883なら8GBで電池も持ちます。文字にする作業は人が引き受けることになります

3. 終日、録りっぱなしにしたい → 従来型ICレコーダー。乾電池で40時間以上録れる機種はここにしかありません

4. 身につけて、立ち話や移動中に録りたい → AIレコーダーの小型機。クリップやピンで留められる形の機種があります

5. まだ買うかどうか決めていない → スマートフォンで1本録ってください。ここで足りると分かることが、実際にはかなりあります

「気づかれずに録りたい」で探している方へ

この語で検索してこの記事に来る方がいるので、事実だけ書きます。

従来型ICレコーダーには、録音していることを相手に知らせる仕組みがありません。録音中の表示は本体の画面に出るだけで、通知音も相手には流れません。これは機能の説明として公式に書かれていることではなく、通知に関する記載がどの機種にも無い、という意味です。

一方、標準機能の側は逆の作りになっています。iPhoneの通話録音は開始時に双方へ音声で通知が流れ、Appleは手順の冒頭で「録音しても問題ないことを通話相手に確認してください。」と求めています。Web会議ツールも、記録の開始で参加者に通知が出ます。作っている側は、伝わる作りを選んでいます。

そのうえで、この記事の立場を書いておきます。告知して録ることをおすすめします。理由は法律の話ではなく、実務の話です。あとから録音の存在が分かったときに壊れるのは、その場の記録ではなく相手との関係のほうだからです。断り方の文例は録音の告知文と同意書に、商談で許可をもらう言い方はこちらにまとめました。

録音してよいかどうかの結論は、この記事では出せません。社内規程や相手先の規則は別に効きますし、業種ごとの規制もあります。個別の判断は弁護士にご確認ください。

買ってから気づくところ

仕様表を見比べているときには気にならないのに、使い始めると効いてくる項目です。

ファイルの取り込み。USB端子が本体に直接付いている機種は、ケーブルを探さずに済みます。逆に専用ケーブルが必要な機種は、それを無くすと詰みます。

ファイル名。日付と連番で自動的に付く機種がほとんどで、あとから見て何の会議か分かりません。取り込んだ時点で名前を変える習慣が要ります。VP-20には録音した日付からファイルを探せる「日付検索」があると公式に書かれていて、これは本体で探すときに効きます。

電池の種類。アルカリ乾電池とニッケル水素充電池では持続時間が違います。VP-20の公式値では、MP3 128kbpsでアルカリが約27時間30分、ニッケル水素が約21時間。充電池のほうが2割ほど短いので、長時間の現場では乾電池を予備に持つほうが確実です。

保証と修理。オープン価格の製品は販売店によって保証の付き方が変わります。長く使う道具なので、購入時に確認しておく項目です。

やめるときに持ち出せるか。従来型はMP3かリニアPCMのファイルがそのまま手元に残るので、この心配がありません。クラウドを使う系統では、解約後にデータをどう書き出せるかが機種ごとに違います(やめる前に確かめること)。

型落ちや中古を買うときに見るところ

このジャンルは新機種の入れ替わりが遅く、数年前のモデルでも実用上の差が小さいのが特徴です。そのうえで、中古で見る項目を3つ挙げます。

電池の持ちは新品と同じではありません。内蔵充電池の機種は劣化しています。乾電池で動く機種のほうが、この点では安心です。

付属品が欠けていないか。専用ケーブルや充電池は、単体で買い直すと高く付きます。

修理の受付が続いているか。メーカーの修理サービス期間には終わりがあります。OM SYSTEMは修理サービス期間が終了した製品の一覧を公式サイトで公開しています。買う前に型番で確認できます。

Recoryはどこに当たるか

先に、できないことから書きます。RecoryはiPhoneのアプリなので、本体は売っていません。通話録音もできず、Web会議にボットを入れる機能もありません。終日の録音は端末の電池しだいで、乾電池で110時間という従来型の土俵には乗れません。合わない条件はまとめてあります

当たるのは、上の「5」と「1」です。会議室の机にiPhoneを置いて録り、止めると議事録ができている。専用機を買う前に、この形で足りるかを確かめる相手として使えます。月¥980からで、本体代はかかりません。

買う前に確かめる4つ

順番にも意味があります。上から潰すと、途中で「買わなくていい」と分かることがあります。

スマホで1本録る月の合計時間を出す文字起こしの意味を確かめる落ちたときを試す
この順で確かめると、買い物を1回で終えられます。
  1. 手元のスマートフォンで1本録る。足りるかどうかが最初に分かります
  2. 月に何時間録るかを出す。無料枠に収まるなら月額は要りません
  3. 「文字起こし」の意味を確かめる。製品ページのどの項目に書かれているかを見てください
  4. 落ちたときに何が残るかを試す。返品できる期間のうちに確かめる項目です

この記事の更新履歴

比較表は放置すると嘘になるので、書き換えたセルを残していきます。

日付直したところ
2026-09-03新規作成。OM SYSTEM VP-20(2026年1月30日発売)を追加

この記事から分かれる話

知りたいこと記事
AIレコーダーの機種を比べたいAIレコーダーはどれを買うか
呼び名の違いを整理したいボイスレコーダーとICレコーダーの違い
買わずに済ませたいiPhoneで足りるか確かめる
端末の標準機能の場所録音の仕方
アプリを入れる場合録音アプリの選び方
ソニーの従来型からの移行ソニーがICレコーダーをやめる
録音を断られないための言い方録音の告知文と同意書

機種ごとの詳しい比較はAIレコーダーはどれを買うかに、呼び名の整理はボイスレコーダーとICレコーダーの違いにあります。仕様と価格は2026年9月3日時点の各社公式サイトの表示です。従来型ICレコーダーはオープン価格のため、公式に金額の記載がありません。購入前に販売店でご確認ください。

よくある質問

ボイスレコーダーとICレコーダーは違うものですか

同じものを指す呼び方です。メーカーの公式サイトでもOM SYSTEMは「ICレコーダー」、ソニーは「ICレコーダー/集音器」というカテゴリ名を使っていて、家電量販店の棚では「ボイスレコーダー」と書かれています。呼び名ではなく、文字起こしが付くかどうかで機種を分けたほうが選びやすくなります。

「文字起こしモード」が付いていれば自動で文字になりますか

なりません。OM SYSTEMのVoice-Trek VP-20に搭載されている「文字おこし」モードは、公式ページの「充実の再生機能」という見出しの下にあり、「音声を聞きながら文章に書き起こすときに便利」な操作モードだと説明されています。少し戻る・早く流すといった操作が十字キーに割り当てられる機能で、自動で文字にするものではありません。

小型のボイスレコーダーを選ぶと何が悪くなりますか

マイク同士の間隔が狭くなるので、音の広がりの記録が弱くなります。電池も小さくなり、ボタンも小さくなります。会議室の机に置いて使うなら、小型である必要はほとんどありません。身につけて録りたい場面と、鞄に入れっぱなしにしたい場面でだけ効きます。

何時間くらい録れる機種を選べばいいですか

1日の会議の合計時間の2倍を目安にしてください。従来型ICレコーダーは乾電池で40時間以上録れる機種が多く、この点ではAIレコーダーやスマートフォンより有利です。OM SYSTEMのWS-883はMP3の8kbpsモノラルで約110時間、標準的な128kbpsでも約41時間と公式に記載があります。

ボイスレコーダーを買わずに済ませられますか

会議室の机に置いて録る使い方なら、手元のスマートフォンで同じ結果になることが多いです。専用機が効くのは、身につけて録りたい場面と、電池と容量を気にせず終日録りたい場面の2つです。買う前に、標準の録音アプリで1本録って確かめてください。

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