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選び方と比較

PCM録音とは——「非圧縮だから高音質」が成り立たないことがあります

リニアPCMは音を圧縮せずに記録する方式です。ただし形式の名前だけでは音質は決まりません。サンプリング周波数と周波数特性を実機の公式値で並べて、会議の記録にどれを選ぶかまで書きました。

仕様表に「リニアPCM形式」と書いてあると、高音質のほうを選んだ気になります。実際は、形式の名前だけでは音質が決まりません。同じ製品で、MP3のほうが高い帯域まで録れることがあります。

この記事の内容(17項目)
  1. PCMとは何か
  2. 「非圧縮だから高音質」が成り立たない例
  3. ファイルの大きさは、計算で出せます
  4. サンプリング周波数の数字の読み方
  5. もう1つの数字、量子化ビット数の読み方
  6. 会議の記録に、PCMは要りません
  7. 逆に、削りすぎるとどうなるか
  8. 仕様表を、実際の数字でなぞって読む
  9. スマートフォンで録るときの形式
  10. AACとMP3、どちらも「非可逆圧縮」という点は同じ
  11. 文字起こしに回すなら、どれを選ぶか
  12. モノラルとステレオは、容量が倍違います
  13. 「録音 pcm」で探している人が知りたいこと
  14. 変換するときに気をつけること
  15. 録音の設定を、迷わず決める手順
  16. 会議の記録に、どこまでの数字が要るか
  17. まとめると、こうなります

この記事は、用語の意味と、会議の記録でどれを選ぶかを分けて書いたものです。数字はすべて実機の公式仕様から引いています。

リニアPCM圧縮しない。元の波形をそのままMP3 128kbps圧縮する。会議ならここで足りるMP3 8kbps mono大きく削る。長く録れるが上が切れる
録音形式の関係。上へ行くほどファイルが大きい。

PCMとは何か

PCM(Pulse Code Modulation)は、音を数値の列として記録する方式です。音の波を一定の間隔で区切って、その時々の高さを数字にしていきます。難しく聞こえますが、押さえる数字は2つだけです。

区切る細かさがサンプリング周波数、数字の細かさが量子化ビット数です。「44.1kHz/16bit」という表記は、1秒間に44,100回区切って、それぞれを16ビットの数値で記録する、という意味になります。

「リニアPCM」は、この数値をそのまま——圧縮せずに——保存する形です。削る処理をしないので、元の波形が残ります。MP3のように「人の耳に聞こえにくい成分を落とす」処理をしないぶん、ファイルは大きくなります。

用語何を指すか
PCM音を数値の列にする記録の方式
リニアPCMその数値を圧縮せずに保存する形
WAVリニアPCMのデータを収めるファイルの形式
サンプリング周波数1秒間に何回区切るか(44.1kHzなど)
量子化ビット数1回ぶんを何ビットで表すか(16bitなど)
ビットレート1秒あたりに使うデータ量(128kbpsなど)

PCMとWAVは、厳密には別のものです。PCMは記録の方式、WAVは入れ物。「WAVファイルの中身がリニアPCM」という関係になります。日常ではほぼ同じものとして扱われますが、仕様表を読むときは区別できると混乱しません。

「非圧縮だから高音質」が成り立たない例

ここが本題です。リニアPCMを選べば音が良くなる、とは限りません。

OM SYSTEMのVoice-Trek VP-20の公式仕様から、マイクジャック録音時の周波数特性を並べます。同じ1台の中での比較なので、条件はそろっています。

録音形式周波数特性
リニアPCM 22.05kHz/16bit40Hz〜10kHz
MP3 128kbps40Hz〜17kHz
MP3 32kbps mono40Hz〜7kHz
MP3 8kbps mono40Hz〜3kHz

リニアPCMの上限が10kHz、MP3の128kbpsが17kHz。圧縮しているはずのMP3のほうが、高い帯域まで記録できています。

理由はサンプリング周波数です。この機種のリニアPCMは22.05kHzで動いていて、記録できる上限はその半分あたりになります。「圧縮するかどうか」と「どこまでの高さを記録できるか」は別の話で、後者はサンプリング周波数で決まります。

つまり比べるときに見るのは、形式の名前ではありません。サンプリング周波数と、公式が出している周波数特性の数字です。名前だけで選ぶと、この機種では逆の結果になります。

ファイルの大きさは、計算で出せます

非圧縮の容量は、掛け算で求まります。サンプリング周波数 × 量子化ビット数 × チャンネル数が、1秒あたりのビット数です。

CDと同じ44.1kHz/16bitのステレオなら、1秒あたり約1.4メガビット。1時間ではおよそ600メガバイトになります。モノラルならその半分です。

これをMP3の128kbpsと比べます。128kbpsは1秒あたり128キロビットなので、1時間でおよそ56メガバイト。10倍以上の差です。

形式1時間あたりの目安
リニアPCM 44.1kHz/16bit ステレオ約600MB
リニアPCM 44.1kHz/16bit モノラル約300MB
MP3 128kbps約56MB
MP3 32kbps mono約14MB

3時間の会議を非圧縮のステレオで録ると、1本で1.8GBです。メールで送れませんし、クラウドへ上げるにも時間がかかります。共有する前提の記録なら、この時点で選択肢から外れます。

なお、実際のファイルサイズはヘッダーなどの分がわずかに乗ります。厳密な値が必要なら、手元で10分録って実測して6倍するのが確実です。

サンプリング周波数の数字の読み方

仕様表で並ぶ数字の意味を、もう一段だけ書きます。ここが読めると、製品どうしを正しく比べられます。

記録できる音の高さの上限は、サンプリング周波数のおよそ半分になります。44.1kHzなら約22kHz、22.05kHzなら約11kHz。前に「VP-20のリニアPCMの上限が10kHz」と書いたのは、この機種のリニアPCMが22.05kHzで動いているからです。

サンプリング周波数記録できる上限の目安使われる場面
8kHz約4kHz電話の音声
22.05kHz約11kHz会議用の録音機
44.1kHz約22kHzCD、音楽
48kHz約24kHz映像制作

人の話し声を聞き取る目的では、22.05kHzでも足ります。会話の明瞭さに効く成分は、その範囲に収まるからです。逆に音楽を録るなら44.1kHz以上が要ります。

仕様表に「リニアPCM」としか書かれていない場合、サンプリング周波数を探してください。そこが書かれていなければ、周波数特性の欄を見ます。どちらも無い製品は、比べる材料が足りません。

もう1つの数字、量子化ビット数の読み方

サンプリング周波数の次によく出てくるのが、量子化ビット数です。「16bit」「24bit」という表記がこれにあたります。サンプリング周波数が「1秒間に何回区切るか」を表すのに対して、量子化ビット数は、その1回ごとの音の大きさをどれだけ細かい段階で記録するかを表す数字です。

段階が細かいほど、小さい音から大きい音までの差を滑らかに記録できます。この差の幅は、専門的にはダイナミックレンジと呼ばれます。理屈のうえでは、ビット数が1つ増えるごとに記録できる音の大きさの幅がおよそ2倍に広がるという関係があり、CD規格の16bitと、録音スタジオでよく使われる24bitの差は、主にこの余白の広さにあります。

会議の録音では、この差はほとんど意味を持ちません。人の話し声は、極端に小さい音と極端に大きい音が同じ録音の中に混ざる場面が少ないからです。楽器の録音では、ささやくような弱音から強く鳴らす瞬間まで1本の録音に収める必要があり、そこで24bitの余白が生きます。会議の記録に使うなら、16bitで足ります。

仕様表で「量子化ビット数」を見つけたら、まずサンプリング周波数を先に確認してください。会議で効くのはほとんどの場合サンプリング周波数のほうで、量子化ビット数は音楽用途でなければ気にする必要がありません。2つの数字のうち、どちらが効くかを取り違えないことが、仕様表を読むときのいちばんの近道です。

会議の記録に、PCMは要りません

結論から書きます。人の話し声を記録する目的なら、MP3の128kbps前後で足ります。非圧縮を選ぶ理由は、会議の記録にはほとんどありません。

理由は3つあります。どれも、あとの作業のしやすさに関わります。

1つめ、人の声に必要な帯域は、それほど高くありません。会話の明瞭さに効く成分は、おおむね数kHzまでに収まります。17kHzまで記録できるMP3の128kbpsは、この用途には十分です。

2つめ、ファイルが大きくなると扱いにくくなります。非圧縮は同じ時間でも数倍の容量になります。共有するにも、文字起こしのサービスへ渡すにも、時間がかかります。

3つめ、電池が早く減ります。書き込むデータ量が増えるぶん、録音できる時間が短くなります。同じVP-20の公式値で、リニアPCMが約24時間、MP3の128kbpsが約27時間30分です。

リニアPCMを選ぶ理由があるのは、音楽や環境音を録る場合と、あとから音を加工する前提がある場合です。編集で音量を大きく変える、ノイズを除去する、といった処理をすると圧縮の影響が出やすくなるので、素材として非圧縮で持っておく意味があります。

逆に、削りすぎるとどうなるか

反対側も見ておきます。軽い設定にすると、長く録れる代わりに音の上が切れます。得るものと失うものが、仕様表の別々の欄に分かれて書かれています。

前の表のいちばん下、MP3の8kbpsモノラルは上限が3kHzです。これは固定電話の音質とほぼ同じ帯域で、サ行やハ行の子音に含まれる高い成分が落ちます。録音時間は倍近くになりますが、聞き返したときの明瞭さははっきり落ちます。

同じ機種の公式値で、電池持続時間はこうなります。軽い設定ほど長く録れる関係が、そのまま出ています。

録音形式電池持続時間(アルカリ乾電池)
リニアPCM約24時間
MP3 128kbps約27時間30分
MP3 32kbps mono約40時間
MP3 8kbps mono約50時間

倍以上の差がありますが、その代償が周波数特性です。「とにかく長く回しっぱなしにしたい」という特殊な用途以外では、選ばないほうが無難です。あとで聞き返す前提なら、128kbps前後に置いてください。

仕様表を、実際の数字でなぞって読む

ここまでの読み方を、前に挙げたVoice-Trek VP-20の数字を使って、実際になぞってみます。仕様表の該当欄はこうなっていました。

録音形式周波数特性
リニアPCM 22.05kHz/16bit40Hz〜10kHz
MP3 128kbps40Hz〜17kHz

まず形式の名前は無視します。見るのは「22.05kHz」という数字です。記録できる音の上限は、この半分のおよそ11kHzのはずですが、実際の周波数特性は10kHzで、ほぼ一致しています。次にMP3の128kbpsの行を見ます。こちらは17kHzまで記録できると書かれています。サンプリング周波数の記載が無いので直接は比較できませんが、圧縮する側のほうが高い帯域まで記録できているという結果だけは、周波数特性の数字から読み取れます。

この手順を一般化すると、次の3段階になります。

  1. サンプリング周波数の数字を探す。書いてあれば、その半分がおおよその上限
  2. 周波数特性の数字を探す。書いてあれば、そちらのほうが実測に近い
  3. どちらも無ければ、比べる材料が無いと判断する。名前だけで音質を判断しない

仕様表に載っている数字のうち、会議の記録に関係するのはサンプリング周波数・周波数特性・ビットレートの3つだけです。量子化ビット数、対応するファイル形式の種類、外部マイク端子の有無は、あれば便利ですが、会議の音質そのものには効きません。仕様表が長くて迷ったときは、この3つの欄だけ探せば足ります。

スマートフォンで録るときの形式

専用機と違い、スマートフォンでは形式を細かく選べないことがあります。選べないぶん、迷う余地も少なくなります。

iPhoneのボイスメモが書き出すのはm4aという形式で、AACという圧縮方式を使っています。MP3と同じく圧縮する形式です。Macのボイスメモには圧縮しない設定がありますが、iPhone側には同じ設定が見当たりません(ボイスメモの使い方)。

実務ではこれで困りません。文字起こしのサービスはm4aを受け付けるものがほとんどで、共有も軽く済みます。非圧縮で録る必要がある用途なら、専用機か、外部マイクとパソコンの組み合わせを選ぶことになります。

Androidは端末によって標準の録音アプリが違い、選べる形式も変わります。仕様は端末のメーカーのページで確認してください。

AACとMP3、どちらも「非可逆圧縮」という点は同じ

会議の記録でよく出てくる圧縮形式が、AACとMP3です。どちらも、人の耳に聞こえにくい成分を削って容量を減らす非可逆圧縮という方式である点は共通しています。

違いは主に、使われる場面です。iPhoneのボイスメモが書き出すm4aという形式は、AACという圧縮方式を使っています。一方、多くのICレコーダーや文字起こしのサービスは、MP3を標準として扱っています。会議の記録という目的では、どちらを選んでも大きな差にはなりません。文字起こしのサービスがどちらの形式を受け付けるかはサービスごとに違うので、渡す前に対応形式を確認してください。

形式を変換すると、音質はわずかに落ちます。圧縮した音声を、別の圧縮形式に変換し直す作業(AACからMP3へ、など)は、二重に情報を削ることになるからです。録音した形式のまま渡せるなら、そのまま渡すのがいちばん劣化が少ない方法です。変換が必要になるのは、渡す先のサービスが元の形式を受け付けない場合に限られます。

文字起こしに回すなら、どれを選ぶか

形式で迷ったときの判断です。サービスが受け付ける形式のうち、扱いやすいものを選んでください。精度で選ぶ場面は、実際にはほとんどありません。

形式文字起こしに回すとき
MP3受け付けるサービスがほとんど。軽い
m4a同上。iPhoneならそのまま渡せる
WAV(リニアPCM)受け付けるが、アップロードに時間がかかる

非圧縮であることが精度を上げるわけではありません。文字起こしの精度を決めるものはこちらに整理しました。音声認識は人の声の帯域を処理するので、そこが十分に記録されていれば形式の差は出にくくなります。それより効くのは、録音の置き場所と、話者が重なっていないかのほうです(音声ファイルから文字起こしする)。

ファイルが大きすぎて受け付けてもらえない場合は、圧縮する形式に変換してから渡します。変換で音質はわずかに落ちますが、文字起こしの結果に響くことはあまりありません。

モノラルとステレオは、容量が倍違います

形式と並んで効くのが、チャンネル数です。ステレオはモノラルの倍の容量になります。左右2つの流れを記録するので、単純に2倍です。

会議の記録では、ここも判断が要ります。倍の容量を払う価値があるかどうかの話です。

何が残るか容量
モノラル音そのもの基準
ステレオ音+どちらから聞こえたか2倍

ステレオで録ると、聞き返したときにどちらの方向から聞こえた声かが分かります。会議で複数の人が座っている場面では、この情報が役に立つことがあります。

ただし文字起こしに回すなら、ステレオである必要はほとんどありません。音声認識は片方の流れを処理するので、方向の情報は使われないことが多い。人が聞き返す前提ならステレオ、機械に渡す前提ならモノラルで足ります。

もう1つ、本体が小さいとステレオの効果が薄れます。2つのマイクを離して置けないと、左右の差が付かないからです。仕様表に「ステレオ」と書いてあっても、本体の幅が2cmしかない機種では、差はわずかになります。

「録音 pcm」で探している人が知りたいこと

この語で検索する人の目的は、だいたい3つに分かれます。どれに当たるかで、読むところが変わります。

1. 用語の意味を知りたい。仕様表に出てきた言葉が分からない。この記事の最初のところで足ります。

2. 設定をどれにすべきか決めたい。録音機の設定画面にリニアPCMとMP3が並んでいて、どちらを選ぶか迷っている。会議なら MP3 の 128kbps 前後です。

3. PCMで録れるアプリを探している。スマートフォンで非圧縮の録音をしたい。この用途は選択肢が限られます。

3つ目について補足します。iPhoneの標準のボイスメモは m4a で書き出す作りで、非圧縮を選ぶ設定が見当たりません。Macのボイスメモには圧縮しない設定がありますが、iPhone側には同じものがない。非圧縮で録る必要があるなら、専用機か、外部マイクとパソコンの組み合わせを選ぶことになります。

そこまでして非圧縮にする必要があるかは、目的で決めてください。会議の記録なら、まず必要ありません。楽器やフィールドの録音なら、リニアPCM対応の機種が向きます(機種の分かれ方)。

変換するときに気をつけること

すでに録ったファイルを別の形式に変えるときの注意です。圧縮した音を非圧縮に戻しても、削られた成分は戻りません。

MP3をWAVに変換すると、ファイルは大きくなります。ところが中身は、MP3の段階で落ちた成分が欠けたままです。容量だけが増えて、音質は上がりません。

順番として正しいのは、こうです。あとから取り返しがつくように並べてあります。

  1. 録るときにいちばん良い設定にする
  2. 必要に応じて、圧縮した形式に変換して渡す
  3. 元のファイルは残しておく

3つ目が大事です。変換したファイルだけを残すと、あとから別の用途に使いたくなったときに戻せません。元のファイルは端末か手元に残しておくのが安全です。

なお、iPhoneのボイスメモは書き出すときにいくつか変わるものがあります。レイヤーのある録音はフラット化され、空間オーディオはステレオになります。書き出したあとでは戻せないので、元の録音は端末に残しておいてください。

録音の設定を、迷わず決める手順

ここまでの内容を、実際に設定画面の前で使える手順にまとめます。専用機やアプリの設定画面を開いたときに、上から順に見てください。

形式を選ぶMP3かAACサンプリング周波数を見る22kHz以上ならOK
設定画面で見る順番。会議の録音ならここで決まる。
  1. 形式を、圧縮する方式にする。リニアPCM・WAVではなく、MP3やAAC(m4a)を選びます
  2. ビットレートを128kbps前後にする。選べる機種なら、64kbpsより上、192kbpsより下のあたりで足ります
  3. サンプリング周波数を確認する。22.05kHz以上あれば、人の声を聞き取る用途では十分です
  4. モノラルかステレオかを選ぶ。人が聞き返すならステレオでもよいですが、文字起こしに回すだけならモノラルで容量を節約できます
  5. 量子化ビット数は気にしない。選べる機種でも、会議の記録では16bitで十分です

この5つのうち、実際に音質へ効くのは1と3だけです。2・4・5は容量と扱いやすさに関わる項目で、多少の違いがあっても会議の記録という目的は達成できます。逆に言えば、初めて使う機種で全部の設定に迷ったら、1と3だけ確認して、残りは既定値のままで始めて構いません。

会議の記録に、どこまでの数字が要るか

ここまでに出てきた数字を、要る・要らないで仕分け直します。製品を選ぶときに、高い仕様ほど良いと思い込まないための整理です。

数字会議の記録に要るか
サンプリング周波数要る。22.05kHz以上を目安にする
周波数特性要る。書いてあれば実測に近い
ビットレート要る。128kbps前後が目安
量子化ビット数要らない。16bitで足りる
チャンネル数(モノラル/ステレオ)用途次第。文字起こしだけならモノラルで足りる
非圧縮かどうか(PCMかMP3か)要らない。むしろ圧縮のほうが扱いやすい

上の3行と下の3行で、性質が違います。上は「足りているか」を確認する数字、下は「用途に合わせて選ぶ」数字です。仕様表を見て高い機種を選びたくなったときは、上の3行がすでに足りているかを先に確認してください。足りているなら、価格が高いのは別の理由(電池持続時間や本体の耐久性など)によることがほとんどです。数字を1つずつ照らし合わせる癖をつけておくと、次に別の機種を検討するときも同じ手順で迷わず判断できます。

まとめると、こうなります

目的選ぶ形式
会議の記録MP3 128kbps 前後(またはm4a)
文字起こしに回すMP3 / m4a
音楽・環境音の収録リニアPCM
あとから音を加工するリニアPCM
とにかく長時間軽い設定(ただし音の上が切れる)

形式の名前ではなく、サンプリング周波数と周波数特性の数字を見る。これが、この記事でいちばん伝えたいことです。呼び名の整理そのものはボイスレコーダー・ICレコーダー・ボイスメモの違いに、機種の選び方はボイスレコーダーはどれを買うかにまとめました。


数値はすべて2026年9月3日時点のOM SYSTEM公式サイトに掲載されている Voice-Trek VP-20 の仕様によります。周波数特性はマイクジャック録音時の値で、内蔵マイク録音時は「50Hz〜17kHz(但し、周波数特性の上限値は各録音モードによる)」と記載されています。機種によって値は変わるので、お使いの製品の仕様でご確認ください。

よくある質問

PCM録音とは何ですか

音を圧縮せずにそのまま記録する方式です。リニアPCMとも呼ばれます。MP3のように削る処理をしないぶんファイルは大きくなりますが、元の波形をそのまま保てます。会議の記録では、この方式が必要になる場面はほとんどありません。

PCMとWAVは同じものですか

厳密には違います。PCMは記録の方式、WAVはそのデータを収めるファイルの形式です。「WAVファイルの中身がリニアPCM」という関係になります。日常的にはほぼ同じものとして扱われます。

PCM録音のほうがMP3より高音質ですか

とは限りません。サンプリング周波数という別の数字が同時に効くためです。OM SYSTEMのVoice-Trek VP-20の公式仕様では、リニアPCMの周波数特性が40Hz〜10kHz、MP3の128kbpsが40Hz〜17kHzで、MP3のほうが高い帯域まで記録できます。形式の名前だけで判断しないでください。

会議の録音にPCMは必要ですか

ほとんどの場合、必要ありません。人の話し声を聞き取る目的なら、MP3の128kbps前後で十分です。非圧縮にするとファイルが大きくなり、共有も文字起こしへの受け渡しも重くなります。楽器を録る場合や、あとから音を加工する前提がある場合に選ぶ方式です。

文字起こしに回すならどの形式がいいですか

サービスが受け付ける形式のうち、扱いやすいものを選んでください。多くのサービスはMP3・m4a・WAVのいずれも受け付けます。非圧縮のWAVはファイルが大きく、アップロードに時間がかかるので、実務ではMP3かm4aが向きます。

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