サービス担当者会議の記録(第4表)を、会議の後回しにしない
ケアマネがいちばん書きにくい書類のひとつが第4表です。会議を回しながら要点を書くのは無理がある。記録の型と、録音を使うときに介護の現場だからこそ守ることを整理しました。

ケアマネジャーの書類のなかで、第4表(サービス担当者会議の要点)は書きにくさで上位に入ると思います。会議を回しながら要点を拾うのは無理があり、あとから書こうとすると記憶が薄れている。どちらに寄せても重くなる書類です。
この記事の内容(13項目)
理由ははっきりしています。会議を回す人と、記録を取る人が同じだからです。司会をしながら、利用者と家族の表情を見ながら、各事業所の意見を引き出しながら、要点をメモする。これを毎回きれいにやるのは、構造的に無理があります。
だから実務は「会議のあとに思い出して書く」になりがちで、後回しの山ができる。ここを直す話をします。
まず、第4表は何の書類か
運営基準でサービス担当者会議の開催が定められていて、その要点の記録が第4表です。運営指導(実地指導)で必ず見られます。保存は国の基準でサービス完結の日から2年。自治体の条例で5年としている地域もあるので、自分の保険者の基準を確認してください。
書く内容は標準様式のとおりです。欄が決まっているので、埋める材料さえ揃っていれば迷うところはありません。
- 開催日時・場所・出席者(所属と氏名。欠席者への照会があればその旨)
- 検討した項目
- 検討内容
- 結論
- 残された課題(次回の開催時期・条件)
要点の書類なので、発言の逐語録ではありません。出席していない人(たとえば運営指導の調査員)が読んで、何を検討してどう決まったかが分かれば足ります。
条文に書いてあることを、先に3つ
実務の話に入る前に、根拠を原文で押さえておきます。運営基準(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)から、記録に関係するところだけを引きます。
1. 会議を開いて、担当者から専門的な見地の意見を求める(第13条第9号)。
介護支援専門員は、サービス担当者会議……の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有するとともに、当該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。
2. その記録を、完結の日から2年保存する(第29条第2項)。
指定居宅介護支援事業者は、利用者に対する指定居宅介護支援の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。
同じ項の第2号ハに「第十三条第九号に規定するサービス担当者会議等の記録」が挙がっています。居宅介護支援台帳の一部として位置づけられている、という並びです。なお自治体の条例で5年としている地域があるので、年数は所在市町村の定めに合わせてください。
3. 個人情報を使うなら、あらかじめ文書で同意を得る(第23条第3項)。
指定居宅介護支援事業者は、サービス担当者会議等において、利用者の個人情報を用いる場合は利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならない。
3つ目は「会議の前」の話です。当日その場で口頭で、ではなく、あらかじめ文書で得ておく、と書かれています。ここは録音を使うかどうか以前の土台になります。個別の判断は事業所の規程と、必要であれば所管の窓口や弁護士にご確認ください。
会議を開けないとき、照会で代えられる条件
現場でいちばん困るのが「全員の予定が合わない」です。条文にはただし書きがあります。
ただし、利用者(末期の悪性腫瘍の患者に限る。)の心身の状況等により、主治の医師又は歯科医師……の意見を勘案して必要と認める場合その他のやむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができるものとする。
読み方で大事なのは、末期の悪性腫瘍の患者の例は「その他のやむを得ない理由」と並んでいることです。前者だけが認められる、という書き方にはなっていません。ただし「やむを得ない理由」の中身は条文に列挙されていないので、何をやむを得ないと見るかは、所管の自治体の運営指導での見方に従うことになります。
照会で代えた場合も、記録は要ります。照会したこと自体と、返ってきた意見を第4表に残します。開催できなかった理由を書く欄が様式にあるので、そこを空欄のままにしないでください。運営指導で見られるのは、会議の有無より「求めるべき意見を求めたか」の跡です。
計画の変更のときも同じ構造です。第13条第15号に「ただし、やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができる」とあります。新規と変更で、同じ逃げ道が用意されているということです。
テレビ電話で開いてよい、と明文で書かれています
集まれないときのもう1つの道です。第13条第9号の会議の定義そのものに、次の括弧書きが入っています。
テレビ電話装置その他の情報通信機器……を活用して行うことができるものとする。ただし、利用者又はその家族……が参加する場合にあっては、テレビ電話装置等の活用について当該利用者等の同意を得なければならない。
担当者だけならテレビ電話で開けて、利用者や家族が入るなら同意が要る、という分かれ方です。同意の取り方は条文に指定がありません(第23条第3項の個人情報の同意は「文書により」と明記されているので、そちらとは書き分けられています)。
記録の側で気をつけるのは、出席者の欄に「どの方法で参加したか」を書き分けておくことです。全員が同じ部屋にいた会議と、半分が画面越しだった会議では、あとから読んだときの意味が違います。様式に欄が無ければ、備考に一言足しておけば足ります。
書きやすくする型——「検討項目」を先に立てる
会議の前に、検討項目だけ先に書いておきます。ケアプラン原案の変更点がそのまま項目になるので、実は会議前に7割決められます。
検討項目1:訪問回数の変更(週2→3)
検討内容:
結論:
検討項目2:福祉用具の追加(手すり)
検討内容:
結論:
残された課題:
会議中はこの枠に結論だけ書き込む。検討内容の肉付けは後でいい。結論と残された課題だけは、その場で確定させてください——ここが曖昧なまま散会すると、各事業所への確認の電話が増えるだけです。この「枠を先に作って結論だけ埋める」は、アジェンダの記事に書いた考え方の介護版です。
第4表の記入例——初回のケアプラン
型だけでは伝わらないので、埋めた状態を丸ごと置きます。架空の事例です。
開催日時 2026年◯月◯日 14:00〜14:40 開催場所 利用者宅(居間) 開催回数 1回目 出席者 本人/長女(同居)/介護支援専門員 ◯◯/訪問介護 サービス提供責任者 ◯◯(来所)/通所介護 生活相談員 ◯◯(テレビ電話で参加)/主治医 ◯◯(照会で回答) 検討した項目 ①入浴の方法と回数 ②服薬の管理 ③日中の過ごし方 ④緊急時の連絡体制
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検討内容 ① 自宅の浴槽をまたぐ動作に不安がある。長女不在の平日は入浴を控えている。訪問介護で週2回の入浴介助を行い、通所介護の入浴と合わせて週3回とする案で一致。 ② 朝夕の飲み忘れが月に数回。長女が朝は確認できるが夕は難しい。訪問介護の夕方の訪問時に声かけを行うこととした。主治医からは、一包化に変更済みとの回答(照会)。 ③ 外出の機会が減っている。通所介護を週2回から週3回へ増やす案が出たが、本人が「疲れる」と話したため、まず週2回のまま様子を見る。 ④ 夜間の連絡先を長女の携帯とし、不在時は次女へ。緊急時の合鍵の所在を訪問介護と共有した。
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結論 入浴は週3回(訪問介護2・通所介護1)。服薬は夕の声かけを訪問介護が担当。通所介護は当面週2回のまま。緊急連絡先と合鍵の所在を関係者で共有。 残された課題(次回の検討事項) 通所介護の回数は、1か月後のモニタリングで本人の疲労感を確認して再検討。福祉用具(浴室内の手すり)の要否を、次回までに本人・長女と相談。
注目してほしいのは「結論」と「残された課題」の書き分けです。③は「増やさない」と決めたのではなく、「いまは決めない」と決めた。ここを結論の欄に混ぜると、次回に何を検討するのかが消えます。読む人にとっては、決まったことと持ち越したことが同じ重さで並ぶのがいちばん困ります。
記入例——変更のとき(区分変更・状態の変化)
2回目以降は、前回からの差分が主語になります。前回どう決めて、その後どうなったか。そこから書き始めると短く済みます。
検討した項目 ①要介護度の変更に伴う計画の見直し ②入浴の回数 ③家族の負担
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検討内容 ① 要介護2から要介護3へ変更。区分支給限度基準額に余裕ができたため、サービスの追加を検討できる状態になった。 ② 前回「週3回」で開始したが、通所介護での入浴を本人が嫌がる日が続いている。訪問介護での入浴を週3回に変更し、通所介護は入浴なしで参加する案。訪問介護の提供責任者から、時間帯を午前に移せば対応可能と回答。 ③ 長女の勤務時間が延びた。夕の見守りが難しくなる見込み。
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結論 入浴は訪問介護で週3回(午前)。通所介護は入浴を外して週2回のまま継続。夕の見守りについては、次回までに訪問介護の追加とショートステイの利用を比較して提案する。 残された課題 夕の支援の組み立て。長女の勤務が確定する◯月以降に再検討。
変更のときほど「なぜ変えたか」を1行残してください。あとから記録だけを読む人(引き継ぎ、運営指導、家族)が知りたいのは、変えた事実ではなく理由のほうです。前任者の判断が読めれば、引き継いだ側が同じ検討をやり直さずに済みます。
運営指導で見られやすいところ
書類を揃えることと、見られたときに説明できることは別です。指摘につながりやすいのは、書いていない欄のほうです。
| 欄 | よくある抜け |
|---|---|
| 出席者 | 欠席した担当者について、照会したかどうかが書かれていない |
| 検討した項目 | 「今後について」のような、何を検討したか分からない書き方 |
| 検討内容 | 結論だけがあり、どういう意見が出たかが無い |
| 結論 | 誰が何をするかが決まっていない |
| 残された課題 | 空欄。次回に持ち越すことが書かれていない |
いちばん上が実務では多いところです。全員が集まれなかった会議のほうが普通なので、欠席者にどう意見を求めたかが記録の中心になります。照会したなら照会したと書き、回答の要点を書く。空欄のままだと、意見を求めていないように読めます。
上から2つ目も直しやすい抜けです。「今後について」ではなく「入浴の方法と回数」と書けば、それだけで読める記録になります。検討項目を会議の前に立てておく型は、この記事の上のほうに書きました。
会議の前に決めておく3つ
記録が重くなるのは、会議が終わってから考え始めるからです。前に決めておけば、当日は埋めるだけになります。
- 検討項目(3〜5個)。第4表の欄に入る言葉で立てる
- 参加の方法。誰が来所で、誰がテレビ電話で、誰が照会か
- 同意の状態。個人情報を用いる同意を文書で得てあるか(第23条第3項)
3つ目は毎回の確認ではなく、契約時の書類が有効かどうかの話です。ただし家族の個人情報を用いる場合は当該家族の同意、と条文には書き分けられています。同居していない家族が新たに関わるようになったときは、そこが空いていないかを見てください。担当が替わったタイミングでも一度確かめておくと安全です。
録音を使うなら——介護の現場だからこそ守ること
「録音してあとで書く」は、この会議では有効です。有効ですが、普通の会議より一段厳しく考える必要があります。理由は単純で、この会議には利用者の心身の状況=要配慮個人情報が含まれるからです。
1. 出席者全員に、録音の目的を説明して了解を取る。 利用者・家族を含みます。「記録を正確にするためで、第4表を作ったら消します」まで言えるのが理想です。断られたらメモに戻る。伝え方の文面はこちらにあります。
2. 外部のAIで文字起こしする場合、音声が事業所の外へ出ることを認識する。 ほとんどのAI議事録サービスは、音声を外部のサーバーで処理します。利用者情報の外部提供として整理できるかは、事業所の個人情報保護の規程と突き合わせて判断してください。判断の観点は5つの質問にまとめてあります。規程上できないなら、ICレコーダーと手書きです。それで困らない型を上に書きました。
3. 録音は第4表を作ったら消す。 逐語の音声を持ち続ける理由はありません。持ち続けるほど、漏れたときの重さが増すだけです。
Recoryを使う場合の実務上の相性を正直に書くと、対面の会議をiPhoneで録る形はこの会議に合っていて、音声が既定14日で自動的に消える(7日まで短縮可)のもこの用途では安全側です。ただし上の2番——利用者の音声が外部の事業者へ送られる——はうちも同じです。事業所の判断が先で、そこを飛ばして便利さだけ取ることはできません。
そもそもサービス担当者会議は、いつ開くのか
記録の話の前に、開催そのものの整理をしておきます。開くのは1回きりではありません。新規のときだけ開いて終わり、と考えていると抜けます。
| 場面 | 根拠となる考え方 |
|---|---|
| ケアプランの新規作成 | 原案について担当者の意見を求める(第13条第9号) |
| 更新認定を受けたとき | 計画変更の必要性について意見を求める(第13条第15号) |
| 区分変更認定を受けたとき | 同上 |
| 要介護度が変わったとき | 同上 |
| 利用者の状態が変わり、計画を変えるとき | 同上 |
第13条第15号にも、第9号と同じ「やむを得ない理由がある場合は照会等」のただし書きがあります。更新のたびに全員を集めるのは現実的でないので、この道が用意されている、と読めます。実際、更新のたびの開催が負担になっている事業所は少なくありません。
福祉用具貸与を計画に位置付ける場合は、必要に応じて随時会議を開いて継続の必要性を検討する、という規定も別にあります(第13条第22号ほか)。福祉用具が入っている利用者は、開催の機会が1つ多いと覚えておくと、予定が組みやすくなります。
記録を軽くする順番
第4表がたまる事業所と、たまらない事業所の差は、書く速さではなく書く前の準備にあります。効く順に並べます。
- 検討項目を会議の前に立てる。当日に3〜5個。これだけで欄が半分埋まります
- 結論と残された課題を、会議の場で言葉にする。「では入浴は週3回、通所は当面このまま。手すりは次回まで」と口に出して確認すれば、それがそのまま結論の欄になります
- 検討内容の肉付けだけを、あとに回す。ここは記憶が要るので当日中に
- 同じ利用者の前回の第4表を開いてから書く。差分で書けるので速い
2番を飛ばすと、あとの作業が倍になります。会議の最後の1分で言い直すだけなので、負担はほぼありません。参加者にとっても、その場で認識が揃うほうが安全です。
会議中に手が回らない場合の応急処置は議事録のメモが追いつかないときに、そもそも聞きながら書くのをやめる組み立ては聞きながら書けない人のための議事録にまとめました。介護・医療の記録全般の考え方は介護・医療の現場の記録にあります。
当日中に8割、を目標にする
最後に運用の話です。第4表がたまる原因は、1件ずつが重いからではなく、記憶が薄れてから書くと1件が重くなるからです。
会議が終わった直後の10分で、結論と残された課題を確定させる(上の型ならもう書いてあります)。検討内容の肉付けは記憶が新しいその日のうちに。翌日に持ち越した第4表は、体感で倍の時間がかかります。
介護・医療の記録全般で先に決めておくことは別記事にまとめました。
記録の様式と保存期間は、国の基準に加えて自治体の条例で上乗せされていることがあります。自事業所での扱いは、指定を受けている保険者(市区町村)の窓口にご確認ください。
第4表を埋める前の材料をどう作るかは議事録の書き方とテンプレートにあります。
面談系の記録の考え方は1on1の記録と採用面接の記録に。録音を伝える言い方は同意書のひな形にあります。
よくある質問
サービス担当者会議の記録は義務ですか
義務です。居宅介護支援の運営基準でサービス担当者会議の開催が定められており、その要点を第4表(サービス担当者会議の要点)として記録・保管します。運営指導で必ず確認される書類で、保存は国の基準でサービス完結の日から2年、自治体の条例で5年としている地域もあります。
第4表には何を書けばよいですか
厚生労働省の標準様式に沿って、開催日時・場所・出席者、検討した項目、検討内容、結論、残された課題を書きます。発言を逐語で残す書類ではなく、何を検討してどう決まったかの要点を、出席していない人が読んでも分かる形にまとめます。
サービス担当者会議を録音してもよいですか
出席者(利用者・家族を含む)への説明と了解が前提です。会議には利用者の心身の状況という要配慮個人情報が含まれるため、録音データの扱いは通常の会議より一段厳しく考える必要があります。外部のAIサービスで文字起こしする場合は、音声が事業所の外に出ることまで含めて、事業所として判断してください。
1on1の記録は、「誰が見られるか」を先に決める
会議を録音するときの告知文と同意書、そのまま使える3種
AI議事録のセキュリティを、自分で確かめる5つの質問