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場面別の記録術

採用面接の記録——評価と発言を分けて残す

面接の記録が「印象のメモ」になっていると、比較も振り返りもできません。応募者の発言と面接官の評価を分ける書式、録音するときの伝え方、保存の考え方をまとめました。

面接のあと、記録に「明るい印象。コミュニケーション力あり」とだけ書いてある——これは記録ではなく感想です。

3人目の面接が終わるころには1人目の記憶は薄れていて、感想だけの記録では比較のしようがありません。面接の記録がちゃんとしていないと、結局「最後に会った人が有利」になります。直すところは2つだけです。

発言を書く評価を別の欄に書く判断する判断が終わったら消す
面接の記録は、欄を分けるところから。

1. 発言と評価を、欄で分ける

面接の記録には、性質の違う2つが混ざります。

  • 応募者が言ったこと(事実):「前職では3人のチームでECの改善を担当」
  • 面接官が思ったこと(判断):「主体的に動けそう」

この2つを同じ欄に書かないでください。分けるだけで、記録の質が変わります。

面接記録  ◯/◯  応募者:◯◯さん  面接官:◯◯

■ 発言の記録(事実だけ)
- 前職:3人チームでEC改善を担当。売上は1年で1.4倍(本人談)
- 転職理由:裁量を増やしたい
- 質問された点:リモートの頻度、評価制度

■ 評価(判断)
- 実務力:△ 改善の中身を聞くと施策は上司の発案だった
- 志向:◯ 裁量への欲求は具体的

なぜ分けるか。あとから検証できるのは事実の欄だけだからです。「1.4倍」は次の面接で深掘りできますが、「主体的に動けそう」は検証できません。複数の面接官の記録を突き合わせるときも、比較できるのは事実の側です。

もうひとつ。評価の欄は、本人開示を求められる可能性がある前提で書いてください。感情的な表現や、業務と無関係な属性への言及は、書いた時点で問題です。事実と判断が分かれていれば、この点検も欄単位でできます。

2. 録音するなら、冒頭に一言

面接はメモを取りながら聞くのがいちばん難しい場面です。相手は緊張していて、こちらが手元を見るたびに話が固くなる。発言の欄を正確にしたいほど、録音に任せる価値が出ます。

ただし、黙って録らないでください。冒頭にこう伝えます。

「記録を正確にしたいので、録音させてください。評価の検討にだけ使い、採用の判断が出たら消します。

使う範囲と消す時期まで言うのが要点です。断られたらメモに切り替える——それだけの話で、実際に断られることはほとんどありません。

そしてもうひとつ。AIの文字起こしを使う場合は、音声が外部で処理されることを伝えてください。たとえばRecoryなら、音声は文字起こしのため外部のAI事業者(米国)へ送信されます。応募者の音声は本人の個人情報なので、ここを伏せた同意は同意になりません。社内の規程で応募者情報の外部処理が許されていない場合は、使えません——その場合はICレコーダーか手書きです。

伝え方の文面は録音の同意書のひな形にまとめてあります。

面接ならではの、記録の注意

聞いてはいけないことは、書いてもいけません。 家族構成、思想、出身地などの適性と無関係な事項は、応募者が自発的に話した場合でも記録に残さないでください。書いてあれば「選考に使った」と見なされ得ます。

評価は面接の直後に書く。 1日空くと、評価欄は記憶ではなく印象で埋まります。10分でいいので、次の予定の前に書き切る。発言の欄が録音・文字起こしで埋まっていれば、直後に書くのは評価だけで済みます。

構造化しているなら、質問ごとに欄を作る。 全員に同じ質問をする方式なら、記録の欄も質問ごとに揃えてください。応募者間の比較が一気に楽になります。

保存は「判断が終わるまで」

面接の記録は、採用判断が終われば役目を終えます。とくに不採用者の音声を持ち続ける理由はありません。個人情報を抱えるリスクだけが残ります。

判断が出たら音声から先に消す、を運用にしてください。Recoryで録っている場合、音声は既定で14日後に自動的に消えます(7日に縮めることも可能)。面接の用途では、この「勝手に消えていく」既定がそのまま安全側に働きます。文字起こしと議事録も、不要になった時点で会議ごと削除してください。

採用で取得してよい情報の範囲や、記録の保存期間は、自社の採用規程と関係法令で決まります。判断は人事の担当部署、必要なら社会保険労務士にご確認ください。

評価と発言を分けて残す型は議事録の書き方とテンプレートの考え方がそのまま使えます。


社内の1on1の記録は別の考え方が要ります(あちらは「誰が見られるか」が主題)。取材のインタビューはこちらに。

よくある質問

面接の内容は録音してもよいですか

応募者に伝えて同意を得たうえで録るのが基本です。自社の採用規程や、応募者から取得してよい情報の範囲(職業安定法にもとづく指針)に関わるため、運用は人事の担当部署にご確認ください。黙って録るのはやめてください。「評価を正確にするため記録させてください。採用判断以外には使いません」と冒頭に伝え、断られたらメモに切り替えます。断られることはほとんどありません。

面接の記録には何を書くべきですか

応募者が実際に言ったこと(事実)と、面接官がどう評価したか(判断)を、欄を分けて書きます。混ざった記録は、あとで読んだ人が事実と印象を区別できず、複数人の比較にも使えません。

面接の録音や記録はいつまで残すべきですか

採用判断が終わるまでが基本です。不採用者の記録を長く持つ理由はほとんどなく、応募者の個人情報を持ち続けるリスクのほうが大きくなります。判断が出たら音声から先に消し、必要な記録だけ規程に沿って残してください。

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