対面の会議をAIで記録する。選択肢は増えたが、壁は同じ
Google Meetが対面会議に対応し、Web会議ツールが対面へ手を伸ばし始めました。ただし1本のマイクから誰の発言かを取り出す難しさは、どのツールでも同じです。選択肢と限界を整理します。

この記事は2026年8月に大きく書き直しました。前提が変わったためです。
この記事の内容(18項目)
少し前まで、AI議事録ツールはほぼ全部がWeb会議のために作られていて、目の前に人がいる打ち合わせでは使えませんでした。いまは違います。Google Meetが対面会議に対応し、Notion AIもiPhoneで対面を録れる。Web会議の側から対面へ手が伸びてきています。
ただ、選択肢が増えても、難しいところは1ミリも変わっていません。そこを先に説明します。
なぜ対面は難しいのか
Teams、Zoom、Google Meet、tl;dv、そして各社の「AI議事録ボット」。これらが音声を手に入れる方法は、突き詰めると1つです。Web会議に参加して、会議システムが配っている音声データを受け取る。
この方式には大きな利点があります。参加者ごとに音声が別々の通り道で届くので、話者分離をする必要がそもそもありません。「田中さんの通り道から来た音は田中さんの声」と決め打ちできる。だからWeb会議の議事録は、話者が最初から正確に分かれています。
対面には、この通り道がありません。あるのは部屋の空気の振動だけで、それを1本のマイクで拾うことになります。
ここが本題です。対面に対応したツールも、この物理からは逃げられません。Google MeetがスマートフォンでWeb会議の枠組みに乗せても、拾っているのは同じ「1本のマイクに混ざった音」です。参加者ごとに分かれて届くわけではない。
| Web会議 | 対面の会議 | |
|---|---|---|
| 音声の入手先 | 会議システムから直接 | 部屋に置いたマイク1本 |
| 話者の区別 | 参加者ごとに分かれて届く | 音を聞いて推定するしかない |
| 雑音 | ほぼ無い | 空調・椅子・紙・食器 |
| 遠い人の声 | 距離は関係ない | 小さくなる |
同じ「議事録を作る」でも、難易度がまったく違う仕事です。
よくある回避策と、その限界
対面の会議をなんとかしようとして、多くの人が次のどれかを試します。それぞれ、どこで行き詰まるかを書きます。
Google Meet の「Take Notes for me」(2026年〜対面に対応)
スマートフォンでMeetアプリを開いて機能をタップすると、会議室の音声を取り込んで、文字起こし・要約・アクションアイテムまで作ります。専用の機材は要りません。ただし、この記事を書いている時点(2026年8月27日)では、まだiPhoneでは使えません。公式が出している展開の順番はこうです。
| 提供開始 | |
|---|---|
| Android | 2026年8月11日 |
| Web | 8月14日以降 |
| iOS | 8月31日以降 |
iPhoneが最後です。iPhoneをお使いなら、この選択肢はもう少し先になります。
使えるプランもはっきりしています。Business Standard / Plus、Enterprise Standard / Plus、Frontline Plus、個人なら Google AI Pro / Ultra。無印の Business Starter には入っていません。
もうひとつ、扱えるのは同時に1言語だけです。「同じ会議で複数の言語が話される場合は現在サポートしていません」と公式に書かれています。要約の推奨は15分以上で、短い立ち話では要約が出ないことがあります。
Android端末を持っていて、対象のプランを契約しているなら、まずここから試すのがいちばん安いと思います。道具を増やさずに済むので。そして、拾っているのは1本のマイクの音です。誰の発言かの区別は、他の手段と同じ難しさになります。
ノートPCでTeams/Zoomを立ち上げて、その場の音を拾わせる
同じ部屋の全員が入るとハウリングするので、1台だけをマイク役にする運用になります。動くには動きますが、
- そのPCから遠い人の声が入りにくい
- 通り道が1本なので、話者分離は結局されない
- 会議室にノートPCを開いて置くことになり、商談では気を遣う
「Web会議の仕組みを対面に流用する」形なので、Web会議で得られていた最大の利点(話者が分かれて届く)が消えます。
Notion AIのミーティングノートを使う
これは現実的な選択肢です。Notion AIのミーティングノートは端末のマイクから録れるので、対面でも動きます。2026年1月のNotion 3.2からiPhoneでも録音でき、画面をロックしても続きます。「notion ai 議事録 対面」で検索している人が多いのも、実際に使える機能だからです。
すでにNotionで仕事をしていて、議事録もNotionに置きたいなら、まずこれを試すのが早い。詰まるとすればこのあたりです。
- BusinessプランかEnterpriseプランが必要です(公式に明記)。個人向けの安いプランでは使えません
- 1ユーザーあたり1日10時間の上限がある
- 話者のラベルは英語のみ。公式ヘルプに「Speaker labeling is currently available in English only」と書かれています。日本語の会議では、誰が言ったかが付きません
- さらに公式は「対面の会話やグループの会議では、話者のラベル付けは限定的になることがある」と書いています。話者分離がいちばん効いてほしい場面が、まさにそこです
詳しくはNotion AIの議事録を対面の打ち合わせで使うときに詰まるところに分けて書きました。
Copilotの会議要約を使う
Microsoft 365のCopilotが要約してくれるのは、Teams会議として開催されたものです。Teamsを介さない対面の打ち合わせは、そもそも対象になりません。「copilot 議事録 対面」で探しても答えが見つからないのは、機能として存在しないからです。
ICレコーダーで録って、あとで文字起こしに出す
録ること自体は確実です。問題はそのあとで、ファイルをPCに移し、サービスにアップロードし、出てきたテキストを整形する。1回の会議あたり10分〜15分の手作業が毎回発生します。週5本の打ち合わせがあれば、月に4〜5時間です。
対面の会議に必要な条件
ここまでを裏返すと、対面の打ち合わせを記録する道具に要る条件が見えてきます。Web会議向けの製品が対面で崩れるのは、この条件を満たしていないからです。
- ポケットから出してすぐ録れること。ノートPCを開いてアプリを立ち上げる時間は、商談の空気の中では長すぎます
- 1本のマイクの音から話者を分けられること。Web会議のように分かれては届きません
- 長時間でも落ちないこと。対面の打ち合わせは、Web会議より延びます
- 画面を閉じても録り続けること。録音中にメモを取ったり、資料を見せたりするからです
- 固有名詞に強いこと。社名・商品名・担当者名が正しく出ないと、書き直しの手間が消えません
この5つを満たすと、結果としてほぼスマートフォンのアプリになります。すでに机の上にあって、マイクが良く、電池が持ち、閉じても動くからです。
Google MeetもNotion AIも、まさにこの形(スマートフォンで拾う)に来ています。もう「対面かどうか」では選べません。選ぶ基準は次に移ります。
- 誰が言ったかが残るか。 1本のマイクから話者を分けるのは全員が同じ条件で、外れたときに打ち直せるかで差が付きます
- 長い会議が通るか
- 議事録から音声に戻れるか
このうち1つ目がいちばん効きます。詳しくは話者分離が外れる2つの壊れ方に実測を書きました。
対面で使える記録の型は4つ
対面の会議を記録する方法を、大きく分けると4つの型になります。どれか1つが正解というわけではなく、会議の性質と、自分がどこまで手間をかけられるかで決まります。
| 型 | やること | 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|---|---|
| 端末で録る | スマートフォンや専用のAIレコーダーで録音し、文字起こしや議事録まで機械に任せる | 記録の抜け漏れが無い。あとから読み返せる | 話者の分離は崩れることがある。費用がかかる場合がある |
| 専用機を使う | AIレコーダーや従来型ICレコーダーを持ち歩く | 電池が長く持つ。身につけられる | 本体を買う費用が先に立つ。荷物が増える |
| 人が書く | 参加者の誰かがその場でメモを取る | 費用がかからない。要点を自分の判断で選べる | 聞きながら書くと聞き漏らす。あとから見返すと粒度がばらつく |
| 録らない | 記憶に頼り、あとで思い出しながら共有する | 準備も道具も要らない | いちばん正確さに欠ける。参加者の記憶がずれると水掛け論になる |
「端末で録る」と「専用機を使う」は、どちらも機械に文字起こしまで任せる点は同じです。違うのは道具です。すでに持っているスマートフォンを使うか、録音専用の機械を新しく買うかという選択になります。iPhoneのアプリで足りるかどうかは、身につけて録りたいか、電池を気にせず終日録りたいかで変わります。この2つに当てはまらないなら、まずスマートフォンで1本録ってみるのが早い判断です。専用機の形と価格帯の違いは対面の会議を録る道具は、この1年で4つの形に分かれたに詳しくまとめました。
「人が書く」は、いちばん昔から続いている型です。費用はかかりませんが、聞きながら書くという作業そのものに難しさがあります。話を聞くことと文字にすることを同時にやろうとすると、どちらも中途半端になりがちです。決まったこと・宿題・次回の3点だけに絞ってメモを取る、という割り切りをすれば、この型でも実用に足る記録は作れます。逆に、逐語的な記録が必要な会議では、人が追いつける速度に限界があります。
「録らない」は、記録として選んでいるというより、結果的にそうなっていることが多い型です。立ち話や、記録するまでもないと判断した打ち合わせでは自然な選択です。ただし、あとになって「言った・言わない」の話になったとき、記録が無いと確認のしようがありません。決定事項がある会議、費用や納期に関わる話が出る会議では、この型は避けたほうが無難です。
4つの型のうち、対面の会議でいちばん普及が進んでいるのは、荷物を増やさずに済む「端末で録る」型です。Google Meetが対面に対応し、Notion AIもスマートフォンで録れるようになったのは、この型への需要が大きいことの表れでもあります。
職種・場面別に当てはめると
4つの型を、実際によくある対面の会議の場面に当てはめると、選び方がより具体的になります。あくまで一例なので、自分の状況に近いものを参考にしてください。
| 場面 | 向いている型 | 理由 |
|---|---|---|
| 営業の商談(初回・単発) | 端末で録る | 相手先ごとに記録の粒度が変わりやすく、機械に任せたほうが漏れが無い |
| 営業の商談(同じ相手と継続) | 端末で録る+専用機の併用も検討 | 頻度が高いなら専用機の電池の持ちが効いてくる |
| 社内の定例会議 | 端末で録る、または人が書く | 参加者が固定で信頼関係があるなら、人が書く運用でも回ることが多い |
| 1on1・評価面談 | 人が書く、または最小限の録音 | 記録より、その場で本音を話してもらうことのほうが価値が高い場面がある |
| 取材・インタビュー | 端末で録る | 発言の正確さが成果物の質に直結するため、逐語の記録が要る |
| 立ち話・廊下での相談 | 録らない、または要点だけメモ | 道具を構える時間そのものが会話の空気を壊す |
| 工事現場・店舗巡回 | 専用機(身につける型) | 手がふさがっていることが多く、机に置く前提の道具が使えない |
この表で伝えたいのは、「対面だから必ず録音すべき」ではないということです。1on1や立ち話のように、記録より場の空気を優先したほうがよい場面は確かにあります。逆に、取材や継続的な商談のように、記録の正確さがそのまま成果物の質に直結する場面では、機械に任せる型を選ぶ理由がはっきりしています。
会議室の大きさ別の選び方
会議室の広さによって、選ぶべき道具の傾向が変わります。部屋が広くなるほど、1台のマイクで届く範囲の限界が先に来ます。
| 会議室の広さ | 目安の人数 | 選び方の傾向 |
|---|---|---|
| 小会議室 | 2〜4人 | スマートフォンで十分。置き場所さえ守れば専用機との差は出にくい |
| 中会議室 | 5〜8人 | スマートフォンでも足りるが、遠い席の人の声が小さくなりやすい。中央への配置を徹底する |
| 大会議室・コの字型 | 9〜15人 | 集音距離の長い専用機(5m前後)が有利になってくる。複数台での録音も選択肢に入る |
| 説明会・研修ホール | 16人以上 | 登壇者と客席が分かれる形。登壇者側にマイクを寄せ、客席の発言は別に拾う運用が必要 |
小会議室では、道具そのものの差はほとんど出ません。すでに持っているスマートフォンを机の中央に置くだけで、専用機を買う理由は薄くなります。中会議室になると、置き場所を工夫すれば依然としてスマートフォンで足りますが、席の並び方によっては届きにくい人が出てきます。遠い人を基準に置くという原則が、ここから効いてき始めます。詳しい置き方は対面の会議で、iPhoneをどこに置くかにまとめました。
大会議室やコの字型の配置になると、話は変わってきます。1台のマイクでは、端から端までの距離が集音の限界を超えることがあります。この条件では、集音距離を公表している専用機(PLAUD Note Proの5m、Comu Action Proの7mなど)のほうが有利になりますが、それでも全員の声を均等に拾うのは簡単ではありません。据え置き型の製品のように、会議室に据える前提の製品を検討する段階でもあります。詳しくは対面の会議を録る道具は、この1年で4つの形に分かれたにまとめました。外付けマイクで補う方法もあり、効く場面と効かない場面の違いは会議の録音に、外付けマイクは要るかに整理しました。
説明会や研修のような、登壇者と客席が分かれる場では、そもそも1台のマイクで全員をカバーする発想自体を見直す必要があります。登壇者の声を拾うマイクと、質疑応答での客席の発言を拾う仕組みは別に考え、質疑の時間だけ客席側にも録音機を置く、といった運用が現実的です。
参加人数別の選び方
会議室の広さと並んで効くのが、参加人数そのものです。人数が増えるほど、話者の分離が崩れやすくなります。
| 参加人数 | 起きやすいこと | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 1対1(商談・面談) | 話者の混同はほぼ起きない | 相手寄りに置く。断りを入れるとそのまま同意確認にもなる |
| 3〜6人 | 声質が近い人が2〜3人いると混同が起きることがある | 中央配置を徹底。発言前に名前を呼び合う運用が効く |
| 7〜15人 | 声の大小の差が大きくなり、遠い人の発言が誤変換・話者混同の両方で不利になる | 発言者が中央寄りに発言する運用、または複数台での録音 |
| 16人以上 | 個々の発言よりも、全体の流れを記録する割り切りが必要になる | 決定事項と質疑の要点だけを拾う前提で臨む |
声質の近い参加者が複数いる会議は、人数にかかわらず話者が混同されやすいという特性があります。声質が似ている同性・同年代が3人以上いる会議は、現在の技術でも苦手な領域として残っています。この崩れ方には「潰れ」(複数人が1つのラベルにまとまる)と「割れ」(1人が複数のラベルに分かれる)の2種類があり、直せるのは割れのほうだけです。詳しい実測は話者分離が外れる2つの壊れ方に書きました。
人数が多い会議では、司会が名前を呼んでから発言してもらう運用が、機械的な対策より効くことがあります。「◯◯さん、お願いします」という一言が、あとで話者を特定する手がかりになるからです。これは道具を変えずにできる、いちばん費用のかからない対策です。
人数が多いほど、会議の性質そのものも変わってくることに注意してください。少人数の会議では逐語に近い記録が現実的ですが、16人以上の説明会になると、全員の発言を漏れなく拾うこと自体が目的からずれてきます。誰が何を言ったかより、決定事項と質問への回答が正しく残っているかのほうが、記録としての価値が高くなる場面です。
費用の考え方
対面の記録にかかる費用は、「録音する道具そのものの費用」と「文字にする作業の費用」の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 型 | 道具の費用 | 文字にする作業 |
|---|---|---|
| 人が書く | ¥0 | 会議中の時間そのものが費用。1時間の会議ならその場で1時間 |
| 録音だけして、あとで人が書き起こす | 録音機の費用のみ | 1時間の会議を書き起こすと3〜5時間かかる |
| 録音+自動文字起こし(要約なし) | 月1,000円前後〜 | 要点を自分で抜く作業が残る |
| 録音+自動で議事録まで | 月1,000〜2,500円前後、または専用機2〜4万円+月額 | 確認と修正だけで済む |
いちばん見落とされやすいのが、「人が書き起こす時間」を費用として数えていないことです。録音だけして満足し、あとで聞き直しながら文字にする作業を後回しにすると、1時間の会議に対して数時間の作業が積み上がります。これを時給に換算すると、月額1,000円台の自動文字起こしサービスのほうが、実は安く済むことが多くあります。
専用機を検討する場合は、本体価格を買い切りと考えないことが重要です。内蔵電池は交換できない製品がほとんどで、2〜3年で劣化します。本体価格を2〜3年で割ったうえで、月額のプラン料金を足した金額が、実質的な費用になります。2年間使う前提で計算すると、スマートフォンのアプリ(月額のみ)がいちばん安く、専用機は本体価格が先に乗る分だけ総額が上がる傾向があります。
無料で試せる範囲も価格帯によって差があります。多くのAIレコーダーは月300分前後の無料枠を持っていますが、無料枠には「1回あたりの上限」が別に設定されている場合があるので注意してください。月の合計時間だけを見て「無料で足りる」と判断すると、1回の会議の長さで先に詰まることがあります。
Recoryは月額980円から使えます。この金額のなかに文字起こしと議事録の作成、話者分離までが含まれるので、専用機を追加で買う必要はありません。まずは登録不要のお試しで、1回60分までの会議を試すところから始められます。
始める順番
道具を決める前に、次の順番で確認すると、無駄な出費を避けられます。
- 今日ある会議で、手元のスマートフォンの標準機能で1本録ってみる。足りるかどうかは、これがいちばん早く分かります
- 会議室の広さと参加人数を数える。小会議室・少人数ならスマートフォンで足りることが多く、広い部屋・多人数なら専用機や運用の工夫が要ります
- 話者を正確に分ける必要があるかを決める。決定事項の担当が誰かまで正確に残したいなら、崩れたときに打ち直せる道具を選ぶ必要があります
- 断られたときの言い方を、あらかじめ決めておく。その場で考えると言葉に詰まります
- それでも足りなければ、専用機や外付けマイクを検討する。この順番を飛ばすと、必要なかった買い物をすることになります
この順番のいちばんの狙いは、無料で確かめられることを先に済ませることです。1と2は費用がかかりません。3と4も、道具を買う前に決められることです。5まで進んで初めて、出費を伴う判断になります。
録音する前に、一言だけ
個人情報保護委員会は、自分が参加している会話の録音について、録音していること自体を相手に伝える義務までは負わないという整理を示しています(同委員会「ガイドラインに関するQ&A」1-10)。ただし個別の判断が要る場面は弁護士にご確認ください。
ただ、実務で大事なのはそこではありません。あとで「録っていた」と分かったときに関係が壊れないかです。商談・取材・1on1では、冒頭に
「記録を取りたいので、録音させてください」
と一言添えるだけで済みます。経験上、断られることはほとんどありません。むしろ「ちゃんと聞いてくれている」と受け取られることの方が多い。
なお、勤務先の規程や、相手先の入館規則で録音が禁止されている場合はそちらが優先します。また録音した音声には他人の個人情報が含まれるので、扱いは慎重に。この点はプライバシーポリシーにも書いています。
断られたときと、記録したあとの共有
一言添えても、断られることはあります。断られたときは、理由を聞かずにすぐ引くのが実務での基本です。「承知しました、メモを取らせていただきますね」で終わらせ、押し引きをしないこと。断る側にはたいてい理由があり、多くは相手の社内規程です。粘ると、その人を規程違反に誘っていることになります。
複数人の会議で1人だけが断った場合も、その会議全体を録らないと判断するほうが安全です。「その人の発言のところだけ止める」という運用は、リアルタイムで誰の発言かを判別しながら操作することになり、実際にはうまく回りません。場面ごとの具体的な言い方は録音の許可をもらう言い方に、商談・インタビュー・社内会議・電話など8つの場面別にまとめてあります。
記録したあとの共有についても、許可をもらうときに約束した範囲を守る必要があります。「社内共有と議事録の作成にのみ使用します」と言った以上、その言葉どおりに扱うことが、次に録音の許可をもらうときの信頼にもつながります。共有範囲は、社内向けの会議であれば参加者全員、社外の相手が入る会議であれば「先方にも送るか、自社の担当者だけで留めるか」を先に決めておくと、あとで角が立ちません。
音声そのものをいつまで残すかも、共有の一部として考えておく事項です。Recoryでは、音声は既定で14日後に自動削除され(設定で7日に縮めることも、プランの上限まで伸ばすこともできます)、文字起こしと議事録は音声が消えたあとも残ります。プランの上限まで伸ばした場合、ライト・お試し・週プランは90日、スタンダードは180日、Proは365日です。「面談の記録は評価が終わるまで残したい」のように、保管期間そのものを相手に約束する場面では、この上限を踏まえて具体的な日数を伝えるほうが、あとで説明に困りません。
よくある質問
対面の会議には、どの型がいちばん向いていますか。会議室の広さと参加人数、話者を正確に分ける必要があるかで決まります。小会議室・少人数ならスマートフォンで足り、広い部屋・多人数になるほど専用機や運用の工夫が要ります。この記事の「会議室の大きさ別の選び方」と「参加人数別の選び方」を先に見てください。
スマートフォンと専用機、どちらを買うべきですか。身につけて録りたい場面や、終日録りっぱなしにしたい場面がなければ、まずスマートフォンで1本録ってみることをすすめます。専用機が本当に効くのは電池の持ちと気楽さの2点で、この2つが必要ないなら本体を買う理由は薄くなります。
話者が混ざってしまったら、どうすればいいですか。声質の近い参加者が複数いる会議では、どの道具を使っても話者の分離が崩れることがあります。崩れ方には「潰れ」と「割れ」の2種類があり、あとから打ち直せる道具を選んでおくと、崩れたときの被害を減らせます。詳しくは話者分離が外れる2つの壊れ方にまとめました。
ボットを入れて記録することはできますか。対面の会議には、そもそもボットが入る会議URLというものが存在しません。ZoomやTeamsのボット機能は、対面では働きません。対面に限らず、ボットを入れられない会議は社内の規定や相手先の都合でも起こり得ます。対面以外にどんな場面があるかはボットを入れられない会議は、対面だけではないに整理しました。
対面の会議室でiPhoneをどこに置けばいいですか。机の中央か、いちばん遠い人を基準にした位置が基本です。机の材質や充電しながらの置き方、複数人での位置決めまで含めた細かい実務は対面の会議で、iPhoneをどこに置くかにまとめました。
費用をかけずに、まず何から試せばいいですか。手元のスマートフォンの標準機能で、今日ある会議を1本録ってみることです。これで足りるかどうかが、道具を買う前にいちばん早く分かります。足りないと感じた点だけを、あとから専用機や外付けマイクで補う順番のほうが、無駄な出費を避けられます。
Recoryの立ち位置
Recoryは、まさにこの「対面の会議」のために作ったiPhoneアプリです。上の5条件に対して、こう答えています。
- 下部の赤いボタンひとつで録音開始。会議の前に何も入力させません
- 1本のマイクの音から話者分離します。まとまってしまったときは、語に強いエンジンの本文へ、話者に強いエンジンの話者を貼り直せます(有料プラン)
- 最長4時間の連続録音(無料のお試しは60分)。短い間隔で区切って保存するので、アプリが落ちても直前まで残ります
- 画面を閉じても、他のアプリを使っても録り続けます。着信が入れば自動で一時停止し、通話が終われば再開します
- 先方の会社名・担当者名を登録しておくと、次回から議事録に実名で出ます
正直に書いておくと、Web会議の自動記録は得意ではありません。ZoomやTeamsに勝手に入って録るボット機能はありません(Zoomの録画ファイルを取り込むことはできます)。Web会議が中心の方には、ボット型のツールの方が合います。
「対面ができるのはうちだけ」とは、もう書けません。Google Meetが来ましたし、Notion AIもできる。そこは正直に認めます。
残っている差は、外れたときに打ち直せるかと、誰が言ったかを実名で残せるかの2つだと思っています。1本のマイクから話者を分ける難しさは全員に平等にあって、そこで潰れたあとに手が残っているかどうかが分かれ目です。とはいえ、すでにGoogle Workspaceを使っていて、話者の区別にこだわらないなら、Meetで足ります。道具を増やす理由はありません。
対面で使う道具の選び方は録音アプリの選び方にまとめてあります。中で何が起きているかを先に知りたい場合はAI議事録とは何かのほうが近道で、対面で話者が付きにくい理由もそこに書きました。
よくある質問
Web会議ツールで対面の会議を記録できますか
できるようになりました。Google Meetの「Take Notes for me」が2026年8月から対面会議に対応しています。ただし提供はAndroidが8月11日、Webが8月14日以降、iOSは8月31日以降で、対象はBusiness Standard以上などのプランに限られます。同時に扱えるのは1言語だけです。そして1本のマイクで拾う以上、誰の発言かを分ける難しさは他の手段と変わりません。
Notion AIやCopilotは対面の打ち合わせで使えますか
Notion AIのミーティングノートは端末のマイクから録るため、対面でも録音そのものはできます。ただしBusinessプラン以上が必要で、1ユーザーあたり1日10時間の上限があり、さらに話者のラベルは公式に「英語のみ」と明記されています。日本語の対面会議では、誰が言ったかが付きません。一方Copilotの会議要約はTeams会議が前提なので、Teamsを介さない対面の会議では働きません。
対面の会議で録音していることを伝える必要はありますか
個人情報保護委員会の整理では、自分が参加している会話について録音していること自体を伝える義務までは負わないとされており、個人情報保護委員会も、録音していること自体を相手に伝える義務までは負わないとしています(同委員会「ガイドラインに関するQ&A」1-10)。ただし信頼関係の問題として、商談や取材では冒頭に一言伝えるのが通例です。「記録を取りたいので録音させてください」と伝えて断られることはほとんどありません。社内規程で禁止されている場合はそちらが優先します。
Notion AIの議事録を、対面の打ち合わせで使うときに詰まるところ
iPhoneのボイスメモで文字起こしすると、誰の発言か分からなくなる理由
Recoryにできないこと