複数の案件を掛け持ちすると、記録が混ざる
5件を並行していると、どの会議で何が決まったか思い出せなくなります。案件ごとに束ねる、相手先で引ける、次にやることが1か所に集まる。この3つで持ち方が決まります。

3件までなら覚えていられます。5件を超えたあたりから混ざり始めます。
「あの条件を出したのはA社だったかB社だったか」「先週の打ち合わせで、次はどっちが動く話だったか」。この状態は記憶力の問題ではなく、記録の持ち方の問題です。
時系列だけで持つと、必ず混ざる
会議の記録が日付順に並んでいるだけだと、案件が増えた時点で使えなくなります。3か月前のA社の打ち合わせを探すのに、3か月分の会議を遡ることになる。しかも同じ日に別の案件の会議が入っているので、目視で拾うしかありません。案件を単位にして束ねるのが最初の一手です。フォルダでも分類でもタグでも構いませんが、「この案件の会議はここ」という単位を作ってください。
相手先でも引けるようにする
案件だけだと足りない場面があります。同じ相手先に複数の案件があるときです。
- 「A社の担当者が変わったのはいつだったか」
- 「A社とは過去に何件やっているか」
- 「前回A社で揉めたのは、どの案件のときか」
これらは案件をまたぐ質問なので、案件のフォルダを開いても出てきません。相手先という軸をもう1本持っておくと、担当者の引き継ぎや、久しぶりの再訪のときに効きます。2軸で足ります。案件と相手先。会議の種類や日付でさらに切ろうとすると、入力の手間が増えるわりに使いません。引き継ぎのときに何を渡すかは引き継ぎ資料に足りないのは経緯に分けて書きました。
次にやることは、1か所に集める
案件ごとに分けるのは探すためですが、やることは逆に1か所へ集めてください。案件ごとにタスクが散っていると、朝いちばんに5つのフォルダを開くことになります。今日やることは案件をまたいで1つの一覧にする。これが逆になっている人が多い。
- 探すもの(過去の記録)→ 案件ごとに分ける
- やること(未来の宿題)→ 1か所に集める
宿題が抜ける仕組みは別記事にまとめました。
いちばん抜けるのは、相手の宿題
掛け持ちで案件が止まる原因の多くは、これです。
自分の宿題は自分のタスクに入ります。忘れても、誰かが催促してくれます。一方、相手が持ち帰った宿題は誰も追いません。先方が忘れていても、こちらが待っているだけだと案件が止まる。
案件ごとに、相手側の未決の宿題を書いておいてください。次の連絡のときに「先日お持ち帰りいただいた件はいかがでしょうか」と書けるかどうかで、進み方が変わります。
エクセルの一覧で足りるところ、足りないところ
足りるのは進捗の一覧です。案件名・相手先・金額・確度・次回予定。この形は見通しが良く、更新も速い。
足りないのは中身です。なぜその条件になったか、いつ何が決まったか、誰が何を約束したか。これはエクセルの1行には入りません。現実的な形は、一覧と記録を分けて、行から記録へ辿れるようにすることです。一覧のセルに会議記録へのリンクを1本入れておくだけで、「あの話どこだっけ」が消えます。
探すときの落とし穴
記録が案件ごとに整理されていても、検索が効かないことがあります。会議で「例の件」「A案」と呼ばれていたものは、その語でしか記録に残っていません。正式名称で検索しても出てこない。数か月後の自分は、その社内の呼び名を忘れています(検索が効かない理由)。
対策は2つです。議事録の冒頭に、正式名称を1回書く。「例の件(◯◯システム更改の件)」と一度書いておけば、どちらでも引けます。質問できる形にしておく。「A社との過去のやりとりで、価格について合意したのはいつか」を記録に対して聞ければ、語を知らなくても辿れます(記録に質問する)。
案件が増えたときに、最初に壊れるところ
経験上、この順で壊れます。
- 記録の粒度が揃わなくなる。忙しい案件だけ丁寧で、他が雑になる
- 相手先の情報が古くなる。担当者が変わったのに更新されない
- 相手の宿題が消える。自分の分だけ追うようになる
- 前回の内容を確認せずに訪問する。同じ質問を繰り返す
1を防ぐには、記録を作る手間を案件によらず一定にするしかありません。丁寧に書く案件と雑な案件を作らないことが、結果としていちばん効きます。
案件ごとに書式を揃えておくと、掛け持ちの負担が目に見えて減ります(議事録の書き方とテンプレート)。
商談の記録に何を残すかは商談記録の書き方、段階ごとの書き分けはこちらにまとめました。
よくある質問
複数の案件を並行するときの記録はどう持てばいいですか
案件を単位にして束ねてください。時系列だけで並んでいると、どの会議がどの案件のものか探せなくなります。あわせて相手先でも引ける状態にしておくと、担当者が同じで案件が複数ある場合に効きます。
案件管理はエクセルで足りますか
進捗の一覧としては足ります。足りなくなるのは中身のほうで、いつ何が決まったか、なぜその条件になったかはエクセルの1行には入りません。一覧と記録は別に持って、行から記録へ辿れるようにするのが現実的です。
掛け持ちで何がいちばん抜けますか
相手が持ち帰った宿題です。自分の宿題は自分のタスクに入りますが、相手側の宿題は誰も追いません。案件が止まる原因の多くはここにあります。
商談の議事録に何を残すと、次の商談が楽になるか
会議で決まった宿題が抜ける——記録とタスクを繋ぐ
議事録の検索が効かないのは、言葉が一致しないから