議事録の検索が効かないのは、言葉が一致しないから
「価格で止まった案件」を探そうとしても検索窓では出てきません。実際に書いてあるのは全部違う言葉だからです。検索とAIで探せるものがどう違うのか、仕組みから説明します。

議事録を溜めていくと、必ずこの壁に当たります。30本を超えたあたりから、はっきり効いてきます。
あるはずなのに、検索で出てこない。
これは検索機能の出来が悪いからではありません。探し方の仕組みそのものが原因なので、そこを説明します。仕組みが分かれば、どこまでを検索に任せ、どこからを別の手段にするかが決まります。
同じことを、違う言葉で書いている
たとえば「価格が理由で止まった案件」を探すとします。検索窓に「価格」と入れる。実際の議事録には、こう書かれています。4つとも同じ状況です。
- 「単価が折り合わず、いったん持ち帰り」
- 「予算の都合で今期は見送りたいと」
- 「他社さんの見積と比べて、というお話が出まして」
- 「金額面での折り合いがつかず」
「価格」という語は1つも入っていません。会議は自然な会話なので、同じ状況でも毎回違う言葉で書かれます。これは記録の書き方が悪いのではなく、話し言葉がそうだからです。全文検索は文字列の一致で探します。だから「価格」で探すと、この4件は全部漏れます。
「あとで何を探すか」は、先に分からない
これに気づいて、タグや分類を付ける人がいます。部分的には効きます。ただし分類には前提があります。あとで何を探すかを、記録する時点で予想していないといけない。予想できる範囲は、だいたい2つです。
- 相手先で絞りたい → 相手先のタグを付けておく
- 案件で絞りたい → 案件を付けておく
ここまでは予想できます。でも、実際に探したくなる問いは、こういう形をしています。
「この3か月で、先方の担当者が交代した案件は?」 「同じ論点を2回以上議論している会議は?」 「こちらが約束したまま、まだ答えていないことは?」
こういう切り口は、記録する時点では思いつきません。思いついてから探すことになるので、分類は間に合わない。分類の設計そのものについては会議の記録は、溜まってから整理できないに書きました。分類は「予想できる探し方」には効き、「予想できない探し方」には効きません。
AIに読ませると、何が変わるか
変わるのは1点です。一文で言えます。
言葉の一致で探すのをやめて、意味で拾えるようになる。
「価格が理由で止まっている」を状態として渡すと、上の4つの言い回しを同じものとして扱えます。「単価」「予算」「見積」「折り合い」——書かれている言葉が違っても、同じ状況を指していることが判断できるからです。そして、記録する時点で予想していなかった切り口でも探せます。問いを立てた時点で探し方が決まるので、事前の準備が要りません。
代償もあります
いいことばかりではないので、そこも書きます。3つあります。まず、遅いです。検索は一瞬で返りますが、AIは会議を読みに行くので数秒から数十秒かかります。「あの会議いつだっけ」程度なら、検索のほうが速い。
次に、外部へ送られます。読み取り専用でも、読まれた内容は接続先のAIサービスへ渡ります。これがいちばん重い代償です(確認の手順)。接続先としてClaudeを使う場合の追加方法と、渡ることになる中身はClaudeのコネクタ一覧に、議事録アプリが入っていないにまとめました。接続先はClaudeだけではなく、各社で認証や読める範囲の作りが違うので、そこはMCP対応の議事録サービス比較で並べています。そして、答えが正しいとは限りません。会議に書かれていないことを補ってしまう可能性があるので、根拠を出させるのが前提になります。「いつの会議の何分ごろの誰の発言か添えて」と付ければ、その場で確かめられます。
使い分け
結論としては、両方要ります。問いの形で決まります。
| 向いている問い | |
|---|---|
| 検索 | 言葉が決まっている(「A社」「4月納品」)。速い |
| AIに聞く | 条件で拾う(「価格で止まった」「懸念が未解消」)。遅いが届く |
「A社の直近の議事録」は検索が速い。「この3か月で価格を理由に止まった案件」は検索では出ない。どちらか一方では足りません。そして、AIに聞く側が要るようになるのは、記録が数十本たまってからです。10本なら全部覚えているので、検索すら要りません。
繋ぐと具体的に何ができるかは会議の記録をAIに繋ぐと、何が変わるのかに、仕事別の質問例はこちらにまとめました。貯める場所の設計はNotionの置き場所にあります。
よくある質問
議事録を全文検索しても目当ての会議が見つからないのはなぜですか
探している言葉と、実際に書かれている言葉が違うためです。「価格で難航」を探しても、議事録には「単価が折り合わず」「予算の都合で」と書かれています。全文検索は言葉の一致で探すので、この2つを同じものとして扱えません。
タグや分類をつければ解決しますか
部分的には解決します。ただし分類は、あとで何を探すかを先に予想して付ける必要があります。予想していなかった切り口で探したくなったとき、分類は助けになりません。
AIに読ませると何が違うのですか
言葉の一致ではなく、意味で拾えるようになります。「価格が理由で止まっている」という状態を条件にして、違う言い回しで書かれた会議をまとめて拾えます。かわりに、内容が外部のAIサービスへ送られます。
会議の記録をAIに繋ぐと、何が変わるのか
会議の記録は、溜まってから整理できない
議事録をNotionに貯めるときの、置き場所の決め方