町内会・自治会・管理組合の総会議事録——署名は誰が
マンションの管理組合だけは法律で決まっています。議長と出席区分所有者2人の署名、押印は不要。町内会や自治会は規約次第です。混同されやすい3つを分けて整理しました。

「町内会」「自治会」「マンションの管理組合」は、まとめて語られがちですが、議事録の扱いはまったく違います。
法律で決まっているのは管理組合だけです。e-Gov法令検索の原文から整理しました。この記事は条文の所在を示すもので、法的助言ではありません。
3つの違い
| 根拠 | 議事録の決まり | |
|---|---|---|
| マンション管理組合 | 建物の区分所有等に関する法律 | 法律に規定あり |
| 町内会・自治会(任意団体) | なし | 規約次第 |
| 認可地縁団体 | 地方自治法 | 市区町村の手続きが関わる |
管理組合——法律に書いてある
区分所有法42条が、集会の議事録について定めています。作るのは議長です。
集会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。(42条1項)
「議長は」と主語が明示されているのが特徴です。ほかの法人形態では「議事録を作成しなければならない」とだけ書かれていて、誰が作るかまでは決まっていません。書く内容は、議事の経過の要領と結果です。
議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。(42条2項)
全文を書く義務はありません。発言をそのまま残す必要はなく、どの議案がどう審議されどう決まったかが追える程度で足ります。
署名は3人、押印は不要
ここがいちばん間違えられている部分です。
前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名しなければならない。(42条3項)
議長1人+出席した区分所有者2人の、合計3人の署名です。そして、押印の語がありません。
以前は「署名押印」でした。2021年9月1日施行の改正(令和3年法律第37号)で「署名」に改められています。古い様式には押印欄が残っていることがありますが、区分所有法42条3項の条文に押印の要件はありません。電磁的記録で作る場合は、署名に代わる措置が要ります(42条4項)。
保管と閲覧
42条5項が33条を準用しています。つまり議事録も、規約と同じ扱いです。
- 管理者が保管する。管理者がいないときは、規約または集会の決議で定めた区分所有者等が保管
- 利害関係人から請求があったら、正当な理由がある場合を除いて閲覧を拒めない
- 保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示する
3つめは見落とされやすい項目です。「管理人室にあります」ではなく、掲示が求められています。なお、保存期間を定めた規定は条文で確認できませんでした。保管の義務はありますが、何年という定めが見当たりません。実務上は永年保管としている組合が多いようですが、これは規約や慣行の話です。
町内会・自治会——規約を見るしかない
法人格の無い任意団体の場合、議事録の様式・署名・保存期間を定めた法律は見当たりません。だから、まず自分の会の規約を確認してください。多くの規約には「総会の議事については議事録を作成する」程度の条文があり、署名者や保存年数まで書いてあることもあります。規約に何も書かれていない場合は、会で決めることになります。決めておくとよいのは次の3つです。
- 誰が作り、誰が署名するか(議長と、出席した会員2名、が管理組合に倣った形として使われます)
- どこに保管し、誰が見られるか
- 何年残すか(会計に関わる決議は、証憑と揃えて残すほうが後で困りません)
認可地縁団体として市区町村の認可を受けている場合は、地方自治法にもとづく団体になるため、財産の登記や規約の変更で手続きが関わります。この場合は市区町村の担当窓口に確認してください。
共通して効く書き方
法律の話を離れて、実務で効く点を書きます。議案ごとに、賛否の数を書く。「異議なく承認」で済ませている議事録が多いのですが、後から揉めたときに何も証明できません。賛成◯・反対◯・棄権◯まで書いてあれば、そこで終わります。
委任状と欠席者の扱いを書く。総会は定足数が問題になりやすいので、出席者数・委任状の数・議決権の総数を冒頭に書いておく。これが無いと決議そのものの有効性が争われます。次にいつ、誰が何をするかを書く。「検討する」で終わっている議事録は、翌年の総会で同じ議題が出ます(宿題を抜けなくする)。
録音する場合
総会を録音して議事録を作るなら、冒頭で告知してください。参加者は住民や会員で、日常的に顔を合わせる相手です。あとで分かったときの影響が、社内の会議より大きい。議長として告知する言い方は、録音の告知文にそのまま使える例を置いてあります。
なお、個人の事情(滞納、近隣トラブル、健康状態)が出る議題は、録音していても議事録には書かないと決めておくほうが安全です。議事録は閲覧される前提の文書です。
総会の記録を音から起こす場合の入口は録音の仕方に、書式の作り方は議事録の書き方とテンプレートにあります。
条文は2026年9月1日時点でe-Gov法令検索から取得した現行版によります。会社や法人の議事録の義務は別記事に整理しました。個別の判断は専門家へご相談ください。
よくある質問
マンション管理組合の総会議事録に押印は必要ですか
条文の上では、押印は要件に入っていません。区分所有法42条3項は「議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名しなければならない」と定めており、押印の語がありません。以前は「署名押印」でしたが、2021年9月1日施行の改正で「署名」に改められています。
町内会や自治会の議事録に法律上の決まりはありますか
法人格の無い任意団体であれば、議事録の様式や保存期間を定めた法律は見当たりません。運営は規約に委ねられるため、まず自分の会の規約を確認してください。認可地縁団体として法人格を得ている場合は、地方自治法にもとづく手続きが関わります。
管理組合の議事録は誰が保管しますか
管理者です。区分所有法42条5項が33条を準用しており、管理者がいないときは規約または集会の決議で定めた区分所有者等が保管します。保管場所は建物内の見やすい場所に掲示する必要があります。
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