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議事録の書き方

コンサルの議事録はなぜ別物か——時系列ではなく論点で書く

コンサルティング会社の議事録は、発言を記録する文書ではなく、論点を前に進める道具として書かれます。その型から、普通の会社が真似して得する3つと、真似しないほうがいい部分を分けました。

コンサルティング会社に入った新人が最初に叩き込まれるのが議事録だ、という話は有名です。あれは書記の訓練ではありません。論点を整理する訓練です。

だからコンサルの議事録は、普通の会社の議事録と目的から違います。発言を残す文書ではなく、案件を前に進める道具。その型のうち、普通の仕事に持ち帰って得する部分だけを抜き出します。

何が話されたかを残す時系列で書く議事の記録何を決めるかを進める論点で書く検討の設計図
時系列で書くか、論点で書くか。会議の目的で決まる。

違いの核心——時系列で書かない

普通の議事録は、話された順に書かれます。会議は行ったり来たりするので、記録も行ったり来たりします。コンサルの議事録は論点で束ねます

【論点1】価格改定を今期やるか
  結論:保留。原価の最新値が出る◯/◯以降に再検討
  出た意見:値上げ余地あり(営業)/大口2社が離反リスク(CS)
  Next:原価資料を◯◯が◯/◯までに用意

【論点2】新パッケージの範囲
  結論:A案で確定
  Next:契約書の文言修正を◯◯が今週中に

会議で価格の話が3回に分かれて出ても、議事録では論点1の下に1回で潰れます。時系列では消せなかった往復が、論点で書くと自然に消える。読み手は会議に出ていなくても、案件の現在地が分かります。

これはアジェンダの記事で書いた「アジェンダ=議事録の骨組み」と同じ思想です。論点を先に立てられる人は、アジェンダの段階で立てています。

真似して得する3つ

1. すべての論点に「状態」を付ける。決まったのか、保留なのか、誰かの宿題になったのか。コンサルの議事録では、状態の付いていない論点は「書き漏らし」扱いです。「議論した」で終わっている項目は、次の会議でもう一度議論することになります。

  1. 保留には「何が来たら決まるか」を書く。

「保留」とだけ書くのと、「原価の最新値が出たら決まる(◯/◯)」と書くのは別物です。後者は保留を宿題に変換しています。この一行があるだけで、案件が止まる場所が減ります。

  1. 24時間以内に出す。

コンサルの現場で議事録が当日〜翌朝に出るのは、美徳ではなく実利です。認識のずれは、時間が経つほど直すコストが上がる。この理屈は言った言わないの記事に書いたとおりで、質より速さが効く文書です。

真似しないほうがいい部分

発言者名を全部落とすこと。 コンサルの社内議事録は「営業」「CS」のように役割で書くことが多いのですが、これはプロジェクトの文脈が濃いから成立します。普通の定例で担当者名を落とすと、宿題の行き先が消えます。宿題には名前を残してください。

示唆(So What)を混ぜ込むこと。 「この発言の含意は〜」を議事録に織り込む型がありますが、事実と解釈が地続きになった議事録は、あとで読む人に危険です。解釈を書くなら欄を分ける。面接記録で書いた「発言と評価を分ける」と同じ原則です。

全部の会議でやること。 論点で書くには、書く人が論点を理解している必要があります。内容を理解していない会議の議事録は、時系列でしか書けません。それは恥ではなく順序の問題で、まず時系列で録っておき、理解が追いついてから論点に組み直せばいい。

録音とAIをどう組み合わせるか

論点で書く議事録は、実は録音との相性がいちばんいい形です。会議中に論点構造を考えながら発言も全部書くのは、二重の仕事で、たいてい両方が中途半端になります。発言を拾う仕事を録音とAIに渡してしまえば、人は論点を立てて状態を付ける仕事だけに集中できます。

Recoryの議事録は「決まったこと・決まらなかったこと・宿題」の状態別で出るので、論点型の下書きとして使えます。ただし論点の立て方そのもの——この会議は結局何を決める場だったのか——は、上に書いたとおり人の仕事です。AIは会議の外の文脈(この案件で何が焦点か)を知らないからです。


要約の削り方はこちら、議事録の基本の型はテンプレート8種にあります。

よくある質問

コンサルの議事録は普通の議事録と何が違いますか

並べる軸が違います。普通の議事録は時系列(話された順)で書かれがちですが、コンサルの議事録は論点ごとに束ね、各論点に「決まったか・保留か・次に誰が何をするか」を必ず付けます。読む人が会議に出ていなくても、案件の現在地が分かる形です。

論点で書くとはどういうことですか

「その会議は結局、何と何を決める場だったのか」を先に立て、発言をその下に振り分けることです。雑談や行き来した議論は論点の下で1〜2行に潰れます。時系列で書くと消せなかった往復が、論点で書くと自然に消えます。

議事録に自分の解釈を入れてもよいのですか

事実と解釈を欄で分ければ入れられます。コンサルの議事録には示唆(So What)の欄を持つ型がありますが、発言の記録と地続きに書くと危険です。「決まったこと」は事実だけ、考察は明示的に分けて書いてください。

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