「言った言わない」は、会議の終わり方で防ぐ
揉めてから録音を探すのではなく、揉めない形で会議を終える。その場の読み合わせ、当日中の共有、決定事項の書き方。順番に効く手当てを、実務の形でまとめました。

「そんなことは言っていない」「いや、あのとき確かに」——この応酬が始まった時点で、どちらが正しくても、その関係は少し壊れます。
だから、この問題は起きてから解決するより起きない形で会議を終えるほうが、圧倒的に安上がりです。効く順に3つ、手当てを書きます。
手当て1. 最後の3分で、読み合わせる
いちばん効くのがこれです。追加の道具も要りません。会議の最後に、こう言うだけです。
「今日決まったことを確認させてください。1つ、単価は据え置き。2つ、納期は4月末を目標に、可否をこちらから◯日までに回答。3つ、稟議は御社側で起案。——この理解で合っていますか」
ここで「いや、単価は再検討という話では」と返ってきたら、それこそが収穫です。解散したあとに発覚するはずだったずれが、全員のいる場で直った。
言った言わないの大半は、嘘ではなくその場で認識がずれていただけです。読み合わせは、そのずれを会議の中で見つける仕掛けです。
手当て2. 当日中に、決定事項だけ送る
読み合わせをしても、時間が経てば記憶は薄れます。二つ目の手当ては速さです。
当日中、遅くとも翌営業日の午前に、決定事項を送ってください。全文の議事録でなくていい。むしろ決定と宿題だけをメール本文に置くほうが読まれます。そして一文を添えます。
認識の相違がございましたら、◯日までにご指摘ください。
この一文があると、返事が無いことが確認の代わりになります。3日後の指摘なら小さな訂正で済みますが、3週間後の「言っていない」は、もう感情の問題になっています。文面の実例は議事録を送るメールの文面に置きました。
手当て3. 決定事項の書き方を変える
送っても防げないことがあります。それは、書き方が曖昧な場合です。
× 納期について前向きに検討いただけることになった
これは3か月後に読むと、何も決まっていません。「前向き」の解釈が人によって違うからです。
○ 納期:4月末を目標。可否は弊社が確認し、◯/◯までに回答する
決定事項は、誰が・何を・いつまでにが入っていて初めて決定です。入らないものは「決まらなかったこと」の欄に正直に書く。決まっていないことを決まったように書くのが、言った言わないの温床です。型は議事録のテンプレート8種にまとめてあります。
それでも取りこぼしたときのために、録音がある
3つの手当てをしても、拾いきれないものはあります。読み合わせに入れなかった細部、メールに書かなかったやり取り。
そこで効くのが録音です。ただし位置づけを間違えないでください。録音は、記憶の代わりに音声で確認するための控えです。「あのとき何と言ったか」を、お互いの記憶で争うのではなく、聞き直して確かめられる状態にしておく。運用で2つだけ気をつけることがあります。
録っていることは、先に伝える。 黙って録っていたと後から知られると、それ自体が信頼の問題になります。「議事録を作るので録らせてください」で足ります。言い方の実例はこちらに。
音声には保存期間がある。 たとえばRecoryの場合、音声は既定で14日後に消えます(設定で7日〜プラン上限まで変更可)。文字起こしと議事録は残るので、確認のよりどころは文字の側に置き、聞き直しが要りそうな会議だけ期間を伸ばす、という持ち方が現実的です。
議事録の側に、時刻が付いていると早い
聞き直すとき、1時間の録音を頭から流すのは現実的ではありません。議事録の行に音声の時刻が紐づいていると、確認したい発言のところだけを聞けます。「単価の話は34分ごろ」まで分かっていれば、確認は1分で終わります。
Recoryは議事録・文字起こしの各行から音声のその位置に飛べるので、「あの件、なんて言ってたっけ」への答えが記憶ではなく再生になります。読み合わせ(手当て1)に使う「決まったこと」の一覧も、録音を止めた時点でできています。
商談で何を残すかは商談の議事録に、録音を伝える言い方は録音の許可のもらい方にまとめました。
よくある質問
言った言わないを防ぐ一番効果的な方法は何ですか
会議の最後の3分で、決まったことをその場で読み合わせることです。全員がいる場で「今日決まったのはこの3つです」と確認すると、認識のずれがその場で直ります。解散してから直すより、桁違いに安上がりです。
議事録を送っても読んでもらえない場合はどうすればよいですか
全文を読ませようとせず、決定事項だけをメールの本文に置いてください。そのうえで「認識の相違があればご指摘ください」の一文を添えます。期限までに指摘がなければ合意扱いにする、という運用を先に共有しておくと、返事が無いことが確認の代わりになります。
録音しておけば言った言わないは起きませんか
減りますが、無くなりません。録音は「あとで確認できる」道具であって、認識のずれ自体を防ぎません。ずれを防ぐのは、その場の読み合わせと当日中の共有です。録音はその2つを取りこぼしたときに、記憶ではなく音声で確認するための控えです。
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