会議の録音にAirPodsを使わないほうがいい理由
つけているのだからマイクも良いはず、と思って使うと音が悪くなります。Bluetoothのイヤホンをマイクにすると何が起きるのか、そして会議では何が拾えていないのかを説明します。

AirPodsをつけたまま会議に出て、そのまま録音する。自然な流れですが、これをやると音が悪くなります。
しかも、悪くなる方向が2つあって、どちらも会議の記録では効きます。
1. マイクにした瞬間、経路が変わる
これがいちばん知られていないところだと思います。iPhoneは、Bluetoothのイヤホンをマイクとして使うとき、通話向けの経路に切り替えます。音楽を聴いているときの経路とは別物です。
音楽を聴くだけなら、良い音で届きます。ところが「録音する」「通話する」でマイクを使い始めた瞬間、双方向のやり取りに向いた設定へ切り替わり、音の情報量が落ちます。
体験として分かりやすいのは、AirPodsで音楽を聴いている最中に電話がかかってきたときです。音楽の音質が急に下がるのに気づいたことがあると思います。あれと同じことが、録音を始めた瞬間に起きます。つまり、良いイヤホンを使っているのに、録音の入り口としてはiPhone本体のマイクより不利という、直感に反する状態になります。
2. 拾っているのは、自分の声だけ
もうひとつは置き場所の問題です。AirPodsのマイクは、自分の口元にあります。
これは通話には最適です。自分の声が近くて大きく、周りの雑音が相対的に小さい。1人で喋る用途のために作られているからです。ところが会議の記録では、これが逆に働きます。
| 自分の声 | 向かいの人の声 | |
|---|---|---|
| AirPods | とても大きい | 遠い・小さい |
| iPhone を机の中央に | ほどよい | ほどよい |
会議の記録で欲しいのは、全員が同じくらいの大きさで入っている音です。誰か1人だけ大きい録音は、読み返す用途では使いにくい。さらに、声の大きさに差があると話者分離にも不利です。小さく入った人は、他の人と同じラベルにまとめられやすくなります。この崩れ方はあとから直せません(詳しくはこちら)。
風とこすれにも弱い
外で使う場合、もうひとつあります。耳につけている以上、風が直接当たります。そして髪や襟がこすれる音も拾う。屋外や、風の通る場所での打ち合わせでは、これが全体に乗ります。机の上に置いたiPhoneなら、少なくとも髪はこすれません。
じゃあどうするか
AirPodsは外して、iPhone本体で録ってください。それだけです。装着したまま録るより、机に置いたiPhoneのほうが素直に良い結果になります。置き方は3つだけ守れば足ります。
- テーブルの中央寄り。遠い人がいるなら、その人の側に寄せる
- 画面を上にして、柔らかいものの上に(ノートや手帳の上でいい)。机の振動を拾わなくなる
- エアコンやプロジェクターの送風から離す
詳しい根拠はiPhoneの置き場所にまとめました。
AirPodsを使っていい場面
全部だめという話ではありません。次の場合は普通に使えます。
- 聞くためだけに使う。 Web会議の音声を聞きながら、録音はiPhone本体に任せる
- 自分1人の口述。 歩きながら考えを吹き込む用途なら、口元にマイクがあるのは利点です
- 通話。 そもそもそのために作られています
要するに、「自分の声を届ける」なら最適で、「部屋を記録する」には向かないということです。道具の向き不向きの話で、性能の良し悪しではありません。
ついでに、有線のマイクについて
「じゃあ良い外付けマイクを買えば」と考えたくなりますが、会議の記録ではあまり効きません。理由は、精度の記事に書いたとおりです。いまの文字起こしは、声がちゃんと聞き取れていれば、それ以上音を良くしても結果が変わりません。私が同じ会議の録音でビットレートを上げて試したときも、話者の分かれ方は1行も変わりませんでした。音声認識がどこまでを機械で自動化していて、どこからが人の作業なのかは文字起こしとはに整理しました。
マイクを足して効くのは、そもそも声が届いていない場合だけです。広い会議室で遠い席の人が入っていない、といった条件なら意味があります。手元の3〜4人の打ち合わせなら、iPhoneを中央に置くほうが安上がりで結果も同じです。専用の録音機まで含めてスマートフォンで足りるかどうかを見るならボイスレコーダーはどれを買うかにまとめました。
本体のマイクで録る場合の基本は録音の仕方に、ボイスメモ側で選べる収録モードはボイスメモの使い方にまとめてあります。マイクを替える前に、まず標準の入口を押さえてください。
RecoryもiPhone本体のマイクで録る前提で作っています。AirPodsを繋いだまま録ることもできますが、上の理由でおすすめしていません。外して机に置いてください。置き方の詳細はiPhoneの置き場所、話者が分かれないときの対処はこちらにあります。
よくある質問
AirPodsをマイクにして会議を録音できますか
できますが、おすすめしません。iPhoneはBluetoothのイヤホンをマイクとして使うとき、通話向けの経路に切り替えます。音楽を聴くときの経路とは別物で、記録用としてはiPhone本体のマイクより不利になります。
AirPodsで録るとなぜ他の人の声が小さいのですか
マイクが自分の口元にあるからです。装着者の声は近くて大きく、向かいに座っている人の声は遠くなります。会議の記録では全員が同じくらい拾えている必要があるので、この偏りは不利に働きます。
では会議は何で録るのがよいですか
iPhone本体のマイクです。テーブルの中央寄りに、画面を上にして、柔らかいものの上に置いてください。AirPodsは外して構いません。聞くために使うのは問題ありませんが、録るのは本体に任せるほうが結果が良くなります。
対面の会議で、iPhoneをどこに置くか
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