営業日報が面倒なのは、記憶で書いているから
1日3件回ったあと、夕方に思い出して書く。この作り方だと時間もかかるし中身も薄くなります。商談を録っておくと日報の何が変わって、何は変わらないのかを実務の順で書きました。

1日に3件回って、夕方に事務所へ戻ってから思い出して書く。この作り方がいちばん時間を食います。訪問の順に思い出そうとすると、3件目を書くころには1件目が薄れています。
時間はどこに消えているか
日報を書く時間を分けると、こうなります。感覚的な話ではなく、やってみると分かります。
| 工程 | だいたいの割合 |
|---|---|
| 何を話したか思い出す | いちばん長い |
| 何を書くか決める | 次に長い |
| 実際に文字を打つ | 短い |
打つ時間はほとんどありません。思い出す工程が大半で、しかも3件目を書くころには1件目の記憶が薄れています。
だから「日報の様式を簡単にする」「文字数を減らす」は、あまり効きません。思い出す工程が残っているからです。様式をいじっても、書き出すまでの時間は変わりません。
記憶で書くと、中身も薄くなる
もう1つの問題があります。思い出して書くと、印象に残ったことだけが残ります。時間だけでなく、内容の質にも効いてきます。
- 相手が乗り気だった/渋かった、という感触
- 大きな金額の話
- 最後に決めたこと
一方で、あとから効いてくる情報のほうが落ちます。印象に残らないものほど、次の訪問で必要になります。
- 決裁者が誰か、という一言
- 「今期は予算が付かない」という前提
- 競合の名前が一度だけ出た
この差は、次の訪問で出ます。前回の細かい前提を覚えていない状態で行くと、同じ質問をもう一度することになります。
商談を録っておくと、何が変わるか
思い出す工程が消えます。これが本体です。記録があれば、夕方にやる作業は材料から選ぶだけになります。
記録があれば、夕方にやる作業は「材料から選ぶ」だけになります。3件分あっても、記憶を掘り起こす必要がありません。具体的には次が揃った状態から始められます。
- 誰と話したか(同席者を含む)
- 相手が言った要望や条件
- こちらが約束したこと、期限
- 相手が持ち帰ったこと
商談の議事録に何を残すと次が楽になるかは商談記録の書き方にまとめました。日報より先に、こちらの形を決めておくほうが早いです。
変わらないこと
正直に書きます。日報の提出そのものは減りません。会社が求めている以上、出す作業は残ります。減るのは書く時間だけです。
もう1つ、様式に流し込む工程は自動になりません。日報の書式は会社ごとに違い、CRMの入力項目もまちまちです。「材料を作る」と「様式に入れる」は別の工程だと考えておいてください。材料が揃っていれば、様式に入れる作業は数分で終わります。ここを混同して「全部自動になる」と期待すると、必ず裏切られます。
「意味がない」と感じるとき
日報そのものが無駄だという感覚は、多くの場合読まれていないことから来ます。書いても反応が無ければ、報告のための報告になります。会社側が日報を求める理由は、だいたい次の3つです。
- 案件が進んでいるかを見る。個人の勤怠ではなく、パイプラインの確認
- 止まっている案件に気づく。本人が気づいていない停滞を、外から見つける
- 属人化を防ぐ。担当が抜けたときに引き継げる状態にしておく
3つめが効いているかどうかは、書いた内容が後から引けるかで決まります。テキストで残っていて検索できるなら意味がありますが、日報のフォームに入れて誰も見返さないなら、その目的は果たしていません。このあたりは自分では変えられないので、書く時間を減らすほうに寄せるのが現実的です。
何を書くかは、3つで足りる
日報の中身で迷う場合、次に繋がるものだけを書けば足ります。項目を増やしても読まれませんし、書く側の負担が増えるだけです。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 誰と | 名前と役職。決裁に関わる人かどうか |
| 何が決まったか | 決定と、決まらなかったこと |
| 次に何をするか | こちらの宿題と期限。相手の宿題も |
感触や所感は最後で構いません。上司が知りたいのは「案件が進んだか」であって、雰囲気ではないことが多い。商談の段階(初回・継続・クロージング)で見るべき項目は変わるので、そこは書き分けを見てください。
録るときは、断る
黙って録らないでください。後で分かったときに、案件より大きなものを失います。
言い方は難しくありません。短く、目的を添えるだけで足ります。改まった説明はかえって身構えさせます。
「記録用に録らせていただいてもよろしいでしょうか。あとでこちらの認識違いが無いか確かめたいので」
目的を添えると、ほぼ断られません。断られた場合は素直にやめて、従来どおりメモを取ってください(そのまま使える例文)。
移動中に済ませる
事務所に戻ってから書く前提をやめると、さらに変わります。移動の時間は、どのみち待ち時間です。そこで処理してしまえば、夕方に持ち越すものが無くなります。
商談が終わった直後、車や電車の中で処理する。記憶が新しいうちに材料を確認して、必要なら補足を足しておく。事務所に戻ったときには、様式に入れるだけの状態にしておく。
1日3件なら、この形で夕方の作業がほぼ無くなります。戻ってからやるのは提出だけです。残業の理由が日報だった人には、ここがいちばん効きます。
日報の元になる記録をその場で残す方法は録音の仕方にまとめました。
営業会議の議事録は、商談の議事録とは別物として書くほうがうまくいきます。残すべき項目が違うためです(書き分け)。
よくある質問
営業日報を早く書く方法はありますか
商談の内容を記憶で再現しないことです。訪問時に記録を取っておけば、夕方に思い出す工程が丸ごと消えます。書く時間の大半はここに使われています。
AIで営業日報を自動作成できますか
商談の記録から材料を揃えるところまでは自動にできます。ただし日報の様式は会社ごとに違うので、そのまま提出できる形が出てくるとは限りません。材料を作る工程と、様式に流し込む工程は分けて考えてください。
商談を録音するとき相手に断る必要はありますか
断ってください。黙って録ると、後で分かったときに信頼を失います。「記録用に録らせていただいてもよろしいでしょうか」で通ることがほとんどです。
商談の議事録に何を残すと、次の商談が楽になるか
営業会議の議事録は、商談の議事録と別物として書く
商談の議事録は、初回・継続・クロージングで書き分ける