AI議事録から情報が漏れる経路は4つ——順に塞ぐ
「クラウドに上げるのが不安」では対策になりません。実際に情報が外へ出る経路は4つあり、それぞれ確かめ方も塞ぎ方も違います。当社の実装も、隠さずに数字で書きました。

「クラウドに上げるのが不安」という言い方では、対策が立てられません。どの経路で外へ出るのかを分けて数えると、それぞれ確かめ方が違うことが分かります。
経路は4つです。
経路1: 処理のために外部へ送られる
音声を文字にする処理は、たいてい外部の事業者のサーバーで行われます。ここは避けようがなく、送り先がどこかを知ることが対策になります。確かめるのはこの3点です。
- 事業者名が具体的に書いてあるか。「外部のAIサービス」としか書いていないものは確かめようがありません
- 所在国はどこか。個人データを外国にある第三者へ提供する場合の扱いは個人情報保護法に定めがあります。自社で対応が必要かは管理部門または弁護士へ
- 保管はどこか。処理と保管は別です。処理は米国、保管は国内、という構成もあります
当社の場合、文字起こしはSonioxとGoogle(Gemini API)、議事録の生成はAnthropicで、いずれも米国です。一方、データベースと音声ファイルの保管は日本国内(東京リージョン)です。事業者名と所在国はプライバシーポリシーに一覧で載せています。
経路2: 学習に使われる
送ること自体より、送ったものがモデルの改善に使われるかのほうが問題になります。ここは規約を読むしかありません。目安として、有料のAPIプランは学習に使わないと明示されていることが多く、無料サービスやコンシューマー向けのAIアシスタントは条件が異なります。無料で使えるものほど、ここを確かめる価値があります。
当社の場合、Sonioxは学習・改善に使用しないと公式ドキュメントに明記しており、GoogleとAnthropicの有料APIプランでは学習に使用されません。当社はいずれも有料プランです。ひとつ正直に書いておくと、Googleのアーキテクチャ上、送信した音声の一時コピーが最大48時間だけ同社側に残ります。文字起こしの処理に必要な仕様で、期間の経過後は自動的に削除されます。当社側からSonioxへ送った音声と文字起こしは、処理の完了後に削除しています。
経路3: 共有した先に残る
見落とされやすいのがここです。議事録をSlackやNotionへ流した時点で、そのサービス側にコピーが残ります。元のアプリで削除しても、連携を解除しても、投稿済みのものは取り消されません。これは仕様というより当たり前の話で、送ったメールを後から消せないのと同じです。対策は、流す先を決めるときに、そこが誰でも読めるチャンネルでないか確かめることです(流すときに決めること)。
経路4: 人と端末
技術的にいちばん堅くしても、ここは残ります。
- 画面共有中に議事録の一覧が映る
- 退職した人のアカウントが生きている
- 「URLを知っていれば誰でも読める」共有リンクが出回る
3つめは特に注意が必要です。URLで共有する仕組みは、URLが漏れた時点で誰でも読めます。当社では、外部のAIから接続するMCPの認証をOAuthに切り替え、ログインを経由する方式にしました。従来の秘密URL方式は、失効と再発行ができるようにしてあります。OAuthに切り替えた経緯と、Claude側で実際に何を登録することになるかはClaudeのコネクタ一覧に、議事録アプリが入っていないに書きました。
送れない会議には、送らない選択肢
ここまで塞いでも、そもそも社外に出せない会議はあります。人事、法務、未公表のM&A、患者や利用者の情報が出る場面。その場合はクラウドを使わない方法に限られます。端末の中だけで処理する選択肢と、その限界はオフラインで文字起こしと議事録はできるかにまとめました。
当社の製品は、この用途には向きません。処理を外部で行う以上、音声は必ず外へ出ます。
稟議に出す前に確かめる5つ
導入の可否を人に説明するときは、AI議事録のセキュリティを、自分で確かめる5つの質問の項目をそのまま使えます。答えが公開されていないサービスは、その時点で候補から外れます。
経路2(学習に使われる)について、各社が実際にどう書いているかは別記事に原文を引いて並べました。
漏れる経路を追う前に、音声がどの工程でどこへ渡るのかを押さえておくと話が早くなります(AI議事録とは何か)。
録音そのものの線引き(どの会議を録るか)は会議の録音ポリシーを、1枚で決めるにあります。法的な判断が要る場面では、社内の管理部門または弁護士にご相談ください。
よくある質問
AI議事録の音声はAIの学習に使われますか
サービスによります。各社の有料APIプランでは学習に使わないと明示されているものが多い一方、無料のサービスやコンシューマー向けのAIアシスタントでは条件が異なります。使う前に、そのサービスの利用規約で「学習に使用しない」と書かれているかを確かめてください。
会議の音声を海外のサーバーへ送ることに問題はありますか
個人データを外国にある第三者へ提供する場合の扱いは個人情報保護法に定めがあり、事業者は本人への情報提供などの対応が必要とされています。自社の対応が必要かどうかは、社内の管理部門または弁護士にご確認ください。当社は送信先の事業者名と所在国をプライバシーポリシーに列挙しています。
社外に音声を出せない場合はどうすればいいですか
端末の中だけで処理する方法に限られます。iOS標準のボイスメモの文字起こしや、オフラインで動くAIレコーダーが候補です。ただし要約や議事録化まで端末内で完結するものは選択肢がかなり限られます。
AI議事録は漏洩する可能性はありますか
経路はいくつかあります。サービスへ送る途中、事業者側での保管、共有リンクの扱い、そしてAIの学習への利用です。このうち学習への利用は各社が方針を公表しているので確認できますが、共有リンクは自分たちの運用の問題なので、社内のルールで塞ぐことになります。
AI文字起こしにはどんな危険性がありますか
音声そのものが外へ出ること、事業者側に保管が残ること、共有リンクが意図しない相手に渡ること、そしてAIの学習に使われることの4つです。このうち学習への利用は各社が方針を公表しているので、契約前に確認できます。
AI議事録のセキュリティを、自分で確かめる5つの質問
オフラインで文字起こしと議事録はできるか
会議の録音ポリシーを、1枚で決める