会議の録音ポリシーを、1枚で決める
誰が録っていいのか、どう伝えるのか、どこに置いて、いつ消すのか。決めないまま各自の判断で録っている会社が多いのですが、揉めてから作るより先に1枚あるほうが早いです。そのまま使える形で置いておきます。

会議の録音について、社内のルールが無い会社は多いと思います。無くても普段は困りません。困るのは、何か起きてからです。
「あの面談、録音されていたらしい」「録ったデータはどこにあるのか」「あのAIサービスに顧客との商談を通していたのか」。こうなってから作るルールは、たいてい禁止に振り切った使いにくいものになります。先に1枚あるほうが、結果として自由度が残ります。
決めるのは5つだけ
細かく書いた規程は読まれません。実務が回るのは、この5つを決めた時点です。
1. 誰が録れるか。 全員なのか、会議の主催者だけなのか。「参加者なら誰でも」にすると、参加者どうしで知らない録音が発生します。主催者に限るのがいちばん揉めません。
2. どう伝えるか。 冒頭に口頭で一言なのか、書面が要るのか。社外が入る会議は口頭で足りることがほとんどですが、面談・面接・1on1は別枠にしておくと安全です。文面は録音の告知と同意書に置いてあります。
3. どこに置くか。 個人の端末に置きっぱなしが、いちばん多い実態だと思います。会社の共有領域に置くのか、個人の端末でよいのか。置き場所を決めないと、退職時に誰も回収できません。
4. いつ消すか。 これを書いていないポリシーが多いのですが、消す時期を決めていない記録は、事実上永久に残ります。議事録を確定したら消す、案件が終わったら消す、といった区切りを1つ決めてください。
5. 外部のサービスを使ってよいか。 AI議事録を使うなら必須の項目です。詳しくは後述します。
そのまま使える1枚
会議の録音・記録に関する取り扱い( 年 月 日)
1. 録音できる人
・会議の主催者、または主催者の許可を得た参加者
2. 事前に伝えること
・録音する場合は、開始前に出席者へ口頭で伝える
・面談・面接・1on1は、書面(別紙)で同意を得る
3. 置き場所
・録音データは に置く
・個人の端末に残さない(作業後は削除)
4. 保存期間
・議事録の確定後 日で削除する
・面談・面接の記録は、判断の確定後に速やかに削除する
5. 外部サービスの利用
・文字起こし・議事録作成に外部サービスを使う場合、
利用してよいサービスは とする
・ を含む会議では、外部サービスを使用しない
6. 相談先
・判断に迷う場合は に確認する
空欄は必ず埋めてください。埋まっていない項目は、決まっていないのと同じです。「適切に管理する」のような表現も避けてください。何も約束していないのと変わりません。
「録音を禁止する」を決める前に
一律禁止にしたくなる場面はあると思います。ただ、禁止には副作用があります。
議事録を書く人の負担がそのまま残る、というのが一つ。もう一つは、隠れて録る人が出ることです。禁止されている状況で録った記録は、当然どこにも共有されず、必要なときにも出てきません。管理できない録音が増えるだけになります。
会社が業務上の指示として録音を制限すること自体は、職場の秩序維持や施設管理の観点から行われている例があります。ただし実際にどこまで制限できるかは事情によるので、規程として書く前に、社内の法務か社会保険労務士に確認してください。この記事は実務の整理であって、法的助言ではありません。
現実的なのは、全面禁止ではなく場面を切るやり方です。「顧客情報を含む会議は外部サービス不可」「人事評価に関わる面談は録音不可」のように、危ないところだけを名指しで止める。これなら普段の会議は回ります。
AI議事録を使うなら、5番が本体
ここがいまいちばん抜けやすい項目です。多くのAI議事録は、音声を外部の事業者へ送って処理します。社内の会議の音声が社外に出る、ということです。しかも個人が自分の判断で導入できてしまうので、会社が把握しないまま使われる状態が起きます。
決めておくのは2つです。使ってよいサービスを名指しする。 「AI議事録は情シスの承認を得たものに限る」でも構いません。少なくとも、各自が好きに選ぶ状態は避けたほうがいい。
使ってはいけない会議を名指しする。 顧客の機密情報、人事、法務、未公開の経営情報。ここは会社ごとに違うので、自社の機密区分に合わせてください。
判断の材料として、そのサービスがどこへ音声を送っているかを確認する手順はセキュリティを自分で確かめる5つの質問にまとめました。情シスに相談するときは、送信先の会社名リストを持っていくのがいちばん早いです。
運用を1つだけ足すなら
ポリシーを配って終わりにすると、半年で忘れられます。効くのは1つだけです。
会議の招待に「録音あり」を書く欄を作る。 カレンダーの定型に1行足すだけで、伝え忘れがほぼ無くなります。ポリシーを読ませるより、運用に埋め込むほうが守られます。
ポリシーを書く前に、自社で使う道具が音をどこへ送るのかを確かめておいてください(AI議事録とは何か)。
告知と同意書の文面はこちら、どの会議を録るべきかの判断は会議を録音するかどうかの基準にまとめました。
よくある質問
会社は従業員の会議録音を禁止できますか
職場の秩序維持や施設管理の観点から、業務上の指示として制限している会社はあります。就業規則に明記がなくても、個別の指示として録音を控えるよう求める運用は珍しくありません。実際の可否は事情によるので、規程を作るときは社内の法務や社会保険労務士に確認してください。
録音ポリシーには何を書けばよいですか
誰が録れるか、どう伝えるか、どこに置くか、いつ消すか、外部サービスを使ってよいか。この5つで実務は回ります。細かく書きすぎると誰も読まないので、1枚に収める前提で項目を絞ってください。
AI議事録を使う場合、ポリシーに追記が必要ですか
必要です。多くのAI議事録は音声を外部の事業者へ送って処理します。社内の会議の音声が社外に出ることになるので、どのサービスを使ってよいか、どの会議には使わないかを決めておかないと、各自の判断で運用が割れます。
会議を録音するときの告知文と同意書、そのまま使える3種
録音していい会議・やめておく会議の線引き
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